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工務店としての日々の仕事の中から、「これは家を建てる前に是非知っておいて欲しい」という
基本的な家づくりの知識や、家づくりや暮らしについてのちょっとしたヒント、
マルトからのお知らせなども記事にしています。
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家を建てる前に読みたいお話
2020.08.06

なぜ、木は乾燥していないといけないのか?

木は濡れることよりも、自分の持っている水分量が問題 まずは先日の記事を読んでらっしゃらない方にこちら。 上棟日に、雨が降りそうなんですが・・・ 濡れてもいいのかダメなのか、どっちなんだ! と言われれば、もちろん濡れることはよくありません。 ただ、これは程度の問題がありますので、絶対ダメって訳ではありません。 濡れても乾燥させればOK 濡れても濡れる程度によってOK 実は木は濡れることよりも、木材自体が持っている水分の量が問題なのです。これについては後で説明します。 無垢の木を扱う会社は必ず言います「含水率(※)を〇〇%にしています」私もかならず言います。 ※木に含まれている水分の事で、使われる部位にもよりますが20%前後が良いとされています お客様にしっかり乾燥した木である事を説明する為に、弊社の取引先(木を購入する先)には、しっかりと乾燥された間違いない商品であるか、確認の意味でも必ず聞きます。 何で木を乾燥させなければならないのかは、後で説明します。 この含水率の良し悪しで家の構造や仕上がりに大きな影響が出てきます。 そのため工務店及び製材所さんは様々な工夫と努力で、含水率を抑えた木材を使っているのです。 含水率を落とすとどうなる? 弊社が良く使うヒノキや杉は立木の状態ですと、木材自体の約1.5倍の水分を含んでいるそうです。150%ですね。 どうやって、含水率を落していくのか。 木の中には自由水と結合水という2種類の水分があります。 導管内を通る”水”の状態の物を自由水と言います。 細胞を形成する”水分”としての状態を結合水と言います。 自由水は”水”なので、簡単に抜く事が出来ます。簡単って言うと製材所さんに怒られそうやな(苦笑) 自由水が抜けきると、その木の持つ含水率は概ね30%前後になると言われています。 もちろん何十年もほったらかしで乾燥(天然乾燥)させておけばもっと下がりますが、なかなかそこまで待っていられませんので、機械(人工乾燥)を併用しながら含水率を下げていきます。 含水率は20%前後まで下げなければなりませんから、そうなると当然結合水を抜かなければなりません。 しかし、これは水でなく組織を形成する水分なので、そう簡単に抜ける訳ではありません。 そのため製材所、工務店は様々な方法で水を抜く努力をしているのですが、その方法はまた別の機会に書くことにします。 この結合水ですが、成長する過程で木の細胞となった水分ですから、一度抜けると、今度これを戻すのはかなり難しいのです。 なんでも結合水を戻すには240℃の熱を加えないと無理だそうです。 食べ物を蒸す時に使われる蒸籠(せいろ)がどんなに蒸しても、腐ったり曲がったりしないのがその証ですね つまり、余程雨に濡れ続ける事が無い限り含水率が30%とか40%になる事はないんですね。表面がちょっと濡れてるだけと思ってもらって問題ありません。 ましてや腐るなんてことはあり得ません。 これが上棟の際に雨に濡れても問題はない、という意味です。 最初にも言いましたが、濡れない事が一番です。ただ、濡れても表面だけなので、その後の乾燥などしっかりとした対応さえしていれば問題ありませんのでご安心ください 乾燥するとどんなメリットがある? 上棟時の雨濡れから始まった木と水の関係最後は乾燥です。 なんで乾燥させる必要があるのか?概ね次の2点です。 ● 木が強くなる● 木が反ったり、割れにくくなるのです。 実は木は乾燥することで、強度性能が高くなる性質があります。 曲がりに対して折れにくくたわみにくくなります。 また、乾燥する過程で寸法の変化が進み、結果建築材料になってからは反ったり割れたりしにくくなる、ということです。 まず木は伐採してからどんどん水分が抜けていきます。水分が抜けて含水率が落ちるのに比例するように強度が増していきますが、含水率は10%前後になると、そこで下げ止まりになります。 その下げ止まりの状態になるのが3~10年と言われておりますので、家を建てた時に聞こえる「ピシッ、ピシッ」というポルターガイストの音(木が乾燥してワレたり反ったりする時に出る音)は、築3年頃までは聞こえてきますが、それ以降音は減ってきているはずです。 3~10年で木の水分が抜けるのは止まってしまいますが、木の強度はまだまだ上がっていきます。 ある調査結果を見ますと伐採から200年後まで、木はどんどん強度を増していくんですね。 そこからゆるやかに木は強度を落していき、伐採時の強度と同じまで戻るのは1300年後です。 130年じゃありませんよ、1300年です どうですか? 無垢の木の強さを何となくですがご理解頂けたのではないでしょうか? ちょっと専門的な話になりますが、自然乾燥で可能な含水率30%になった状態を繊維飽和点といいます。この状態までは木の伸縮はおこりませんし強度も基本的には変わりません。ここから1%含水率が下がるたびに、曲げ、せん断、圧縮といった強さが数%ずつ上がっていきます。 含水率は下げれば下げるほど強度は上がっていくのです。 わかりやすく言うと、細い木の枝って、生えてる状態(乾燥してない状態)の時って手でぐにゃっと曲げられますよね。 ところが、折れて地面に落ちている状態の枝で、ある程度乾燥していると固くなって曲げるどころか折りにくくなります。 但し、もっと乾燥すると、逆に弱くなってしまい、簡単に折れるどころか踏むだけで粉砕されてしまいます。 ちょうど粘りもあって固さもある強度というのが、樹種にもよりますが7%~20%の間ぐらいと言われています。 弊社で採用する無垢材は構造材は20%前後、造作材は10%台と規定しております。 概ね乾燥した状態で使いますので、比較的材料の動きは少なく、またワレや反りも出にくくなっています 但し、、、いつも口酸っぱく言わせてもらっているのですが、それでも木は動きます。ワレや反りも木の味と思って採用していますので、ここについてはご理解下さい。 先日、ある大学教授の講義を聞いていたのですが、残念ながら木のワレがある事で強度の低下はあるそうです。 但し、実際の木材を使い強度試験をした所、割れのひどいものや節の多いもので個体差はあるものの、木造住宅で使うレベルの荷重には全く問題のないレベルの強度低下だそうです。 無垢の木は強く、そして長くもつ性能があります。 しかしながら、それを活かすも殺すも調理する板前さん(山師、製材所、工務店、職人)次第なんですね。 木の特性を知らず、無垢の木を使う事はある意味危険です。 但し、木の特性を知ればこれほど、住まいに適した素材はありません。 このブログを読んで下さった方は、もう無垢の木マイスターです(笑)無垢の木の家造りと暮らしを楽しんで下さい。 後悔しない家づくりに役立つ小冊子差し上げます。下のバナーよりどうぞ。
家を建てる前に読みたいお話
2020.08.04

上棟日、雨が降りそうなんですが・・・

上棟で雨が降ったら、どうする? 契約や上棟前に必ずお客様から聞かれるのが 「雨でもやるんですか?」 のご質問。 基本的に雨の場合はやりません。当たり前ですけど、作業に問題が出ます。仕上がりにも影響が出ます。作業員の危険も増します。 それと、やっぱり木が濡れる事はよくありません。ネットなどを見てると、在来工法は大丈夫とか、2×4工法はダメとか色々書いてますが、これは私の言葉を信じてもらって結構です。 濡れない事に勝るものはありません。 とはいえ、雨に降られない・雨水が完全に入らないようにするには、奇跡的に1週間~2週間雨が降らない日が続かなければなりません。 なかなかこれは実現不可能なことです。ですから、出来るだけ濡れないようにする、あるいは濡れた時にどう対処をするのかが、実は大事なポイントです。 雨になりそうな時の上棟の流れと押さえるべきポイント 雨が降らない状態で屋根はかけてしまいたい 上棟当日、怪しそうな天気の場合どこに注目すればいいかを書いてみました。 降らないうちに屋根まで出来れば、まず第一段階クリアです。 屋根が出来れば、家自体の濡れ方は全然変わります。残念ながら屋根が出来るまでに雨が降りそうなら、あるいはその日のうちに屋根まで作業が進まないならば、ブルーシート等で一時的に養生する(覆う)必要はあります。 屋根をクリアしても第一段階と書いた通り、外壁が出来上がらないと、完全な防水にはなりません。 すぐに透湿防水シートを貼る事が出来ると良いのですが、工法や工程によっては1~2週間貼れない場合もありますので、一時的にブルーシートで覆う事が出来ればベストです。 覆うことでかなり濡れは軽減出来ますが、それでも一時的なものなので、外壁に近い場所は一部濡れる事があります。 また、このブルーシート等での養生がされていないと、2階に比べ1階部分は結構雨が入ってきます。 床下断熱でなく、基礎断熱で床下エアコンをする場合は、床下に雨水が入ってきてしまいますと、湿気の抜け道がありませんから、後々床下にカビ発生のリスクがあります。 まずは雨水を入れない工夫が一番で、それでも入ってしまったら、よく乾燥させる事が重要です。 上棟日を延期する 上棟予定日の後が長雨になりそうとか、台風が来る時(そんな天気予報の時はそもそも上棟をしませんが)は、外壁にブルーシートはもちろんなのですが、それ以前に可能なら上棟日の延期を考えることも一案です。 とはいえ実は、実際のところ上棟日の延期は色々な問題があります。 上棟とはその家を建てる大工一人が携わるわけではなく、応援の他の大工、その他職人さん、レッカー屋さんもそうですが、その日に合わせて皆予定を組んでますから、変更するとかなり予定が変わるかもしれません。それこそ完成時期にも影響が出ることがあります。 天気予報がそこまで悪い感じでなければ、思い切って工事を進める事も選択肢の一つです。工程もずれませんし、実はちょっとした雨ぐらいなら木にはほぼ全くと言って良いほど影響はありません。 これについては別記事で書いています。 なぜ、木は乾燥していないといけないのか? 上棟だけに限らず、基礎工事や外構工事の時もそうですが、家を建てるのは外部で行いますから、どうしても天候に左右されてしまいます。 「神様じゃないんだからそれは仕方ない事」 とあきらめて、天気なりに進めるのではなく、そういった時にどう対処できるかという事を考えておくことが大変重要です。 まとめてみました ここまでのことをまとめると以下のようになります。 ① 濡れないようにする② 濡れたらしっかり乾燥させる③ 明らかに天候が悪そうならば上棟を延期する④ 施工者に雨が降ることを想定した対処法がある 雨が降ったらどうするか? ではなく雨が降ることを想定した工程と施工方法を考えておく事が重要で、弊社もこのあたりはしっかり押さえて管理しております。 お時間あれば、是非上棟直後の弊社現場をのぞいてみて下さい 上棟時に雨に濡れることで起こる不安 残念ながらカビの発生はないとは言えない 雨に濡れる事でお客様が心配されるのが ”カビ” 皆さん、カビの発生条件をご存知ですか? 栄養湿度空気(酸素)温度 この4つが揃うとカビが発生すると言われています。 カビは0℃~40℃で発生します。特に繁殖しやすいと言われているのは、 20℃~40℃で湿度は70%以上。 だから梅雨時はカビが繁殖しやすいんですね。 長雨が続き晴れの日がなく、高温多湿で乾かない時期が続くと、木材にもカビが発生します。「カビが発生したらもうおしまい! 交換しかない!」そんな極端なことはありませんのでご安心下さい。 しっかりと乾燥させればカビは死滅し、構造的にも影響はありません。但し、カビがシミとして残りはするのでご注意下さい。 濡れないようにする ↓濡れたら乾かす ↓何らかの理由でカビてしまった場合も、まず乾燥。 ↓乾燥後、影響無い部位ならそのまま使い、部位によっては交換。(影響のある部位とは仕上がり時に見える部分です) この流れの対応が必要です。カビは先の4つの条件が揃うと発生するのですが、逆に1個でも無くすと発生しなくなります。 そういう意味では、在来工法は上棟後一定期間骨組み状態になっていますので、湿気を抜きやすい環境です。 2×4は注意が必要 2×4工法は合板で作ったパネルで組み上げていきますから、雨は大敵です。濡れたら湿気が逃げる事ができません。 また、パネルに使われる合板もボトボトに濡れると構造的にも弱くなってしまいますから、2×4工法は屋根が塞がるまで雨降らない事が理想といえますね。 一番初めに書きましたがが、上棟前後は雨が降らない、そして濡れないのが一番です。しかしながら、なかなかそうはうまく行きませんので、濡れない対策、濡れてからの対策をしっかりする事が大事です。
家を建てる前に読みたいお話
2020.05.01

オール電化?それともガス併用?比較してみよう

電気と都市ガスとプロパンガスを、かかるお金で比較する 家庭で使うエネルギーを主たる目的の給湯・コンロで分けると、電気、都市ガス、プロパンガス、灯油に分かれます。 灯油は給湯しか使えませんし、案外知られてないのですが灯油の給湯ってめちゃくちゃ効率悪いんですよ。 ガスや電気の方が高いと思われがちですが、同じ給湯するなら一番高いのは灯油と思って下さって間違いないです。(それに灯油を買って入れるの面倒ですしね) という事で今回は灯油は除外します。 電気VS都市ガスVSプロパンガスでの比較をしたいと思います。 電気にしろガスにしろ、乾燥機や床暖房など色んな機器が使えて、それぞれの特徴を生かした住宅設備機器もあるのですが、そこまで比較し出したら本当に大変。 という事で、今回は年間を通して使う給湯とコンロを軸にして比較してみたいと思います。 実は、私共の地域(滋賀県)は都市ガスがまだ十分に整備されていません。 そのため弊社のお客様が都市ガスを採用する事がほとんど無いものですから、独自のデータではなく一般的に出回っているデータを利用しますので、ちょっとツメが甘い所もありますがお許し下さい 初期費用の比較 オール電化で必要な設備としては、エコキュート(給湯器)とIHコンロになります。 機種にもよりますし、多少工務店によって入り値が違いますので、一般的に工事費込みで60万円程度であるとお考え下さい。 都市ガスは、エコジョーズ(いわゆる給湯器)とか、エコワン(電気とガスのハイブリット給湯器)とか、エネファーム(ガスで電気を作れる)など、多彩なチョイスが出来ます。 さすガッスなガス会社さんは上戸彩でおなじみのエネファームをゴリゴリ押しされているのですが、 エネファームの商品単価はとにかく高い! ぶっちぎりです。 機種にもメーカーにもよりますし、さすガッスさんは過去の貢献度で機種の価格が変わるという、弱小工務店には厳しい仕入れ価格の設定をされているので、多少金額に幅がありますが、150から200万円はかかると思って間違いないです(初期の頃は300万オーバーでしたから、これでも安くなったんですよ) それにプラス施工費で20万ぐらいかとおもいます。 プロパンガスは、機器代が飛びぬけて安いエコジョーズ(給湯器)にして、高いガス代がバレないようにしたい所ですが、ここはあえてエコワン(電気とガスのハイブリッド給湯器)での比較にします。 何故、あえてこちらをチョイスするのか・・・ それは後のおたのしみという事で(笑) という事で機器代+施工費で80から100万になります。 このように初期費用についてはエコジョーズがダントツ安いのですが、プロパンガスの場合はガス代が高いのであまりおススメはしていません となると初期費用で一番安いのはオール電化となります。 余談になりますが、最近は電力会社が選べるようになりましたね。 都市ガスも同じく自由化ですので、大阪ガスだけでなく関電ガスが選べます。 プロパンガスは、、、昔から自由化です(苦笑) 電気は関電、都市ガスは大阪ガスと独占状態でしたので、比較できるようになって良かったのかなーとは思いますが、電気は特に色んな業種が参入してますから、比較するのは大変です。 これはまた別のブログで書くとします。 光熱費で比較してみる 実は家族の人数や、家族が使う時間帯によって随分と変わってくるので比較がとても難しいです まず、オール電化の仕組みをわかりやすく言うと、夜中の電気代はすごーく安く、朝と夜のわさわさした時間帯は少し安く、それ以外は普通の電気の契約より高いという設定になっており、さっきも言ったように使う時間帯によって大きく価格が変わります。 都市ガスについては、基本的に大阪ガスと関電ガスの比較ですが、じつはあまり良く知りません!(苦笑) エネファーム料金っていうのがあって、通常料金よりかなりお安いガス代になり、プラス床暖とか、浴室乾燥機付けるとかで料金体系が変わったように記憶しておるのですが・・・ プロパンガスも同じく、条件によりけりでガス単価が変わってきます。ほぼ都市ガスと同じ内容で単価が変わります。 都市ガスと同じく、プロパンガスも自由化されてますから選ぶ会社によってガス単価は変わります。 オール電化 関西電力のオール電化といえば、はぴeタイム(R プラン)です 以上が各電力会社が出している数値です。 なかなか良心的というかマジメな数値ですね。 はぴeタイムのサイトはこちら ところで弊社のお客様のオール電化住宅の実数値は、関電のデータから言うと45%減になってます。 安っ! 電力会社は一般的な住宅(中断熱中気密以下)をベースに算出している数値なので、性能が低い家だとどうしてもこれぐらいはかかると思いますが、弊社の高断熱・高気密の家なら上記の金額でいけますのでご安心下さい。 都市ガスでエネファーム こちらは今時の家(高性能)でのデータを出して下さっているサイトがありましたので、かなり実数値に近いと思いますので、そのまま利用させて頂きました。 ※ガス会社のデータはどうも胡散臭いので、採用しておりません やっぱり高いなぁ、、、 余談ですが、エネファームの広告宣伝みると、  表向き1  W発電で電気を作るからお得  表向き2  年間6万から8万光熱費が削減  表向き3  年間6万なら初期投資が高いけど回収可能 とか書いてますけど、あれ、ちょっとサギっぽいですからご注意下さい。 データは合ってますが、比較の対象が悪い 裏の意味1 確かに発電しますけど、発電の為にめちゃくちゃガス使います 裏の意味2 年間6万の削減の対象は普通のガス料金のエコジョーズ使った普通の家の光熱費ですから、そりゃ削減になるでしょう。 裏の意味3 6万で20年もつかえば初期投資は回収できますけど、まず壊れる可能性があります。 壊れなかったとしても回収対象が150万の機器ですから、ランニングもイニシャルも安いオール電化と比べたら、どこまでいっても回収どころかお金垂れ流し状態です。 プロパンガスでエコワン(ハイブリッド給湯器) 弊社のお客様の実数値データをメーカーのデータと比較してみました。 メーカーのデータはこれも一般住宅ベースなのかな? 弊社で採用頂いたお客様の平均数値はメーカーの40%減ですね。 やはりこれも性能の良い家は光熱費が安くなるという証明ですね。 さて、何でこのハイブリッド給湯器はお得になるのか。 それをご説明しなければなりませんね。  ハイブリッド、つまり電気とガスを併用した給湯器になります。  分りやすく言えばプリウス。 電気の良い所とガスの良い所をうまくミックスする事(ガスの悪い所を電気で補うという意味かな)で、出来るだけエネルギー(電気もガスも)を使わないようにする給湯器になります。 電気の契約はもちろん一般電灯契約になりますが、ガスはエネファームなどと同じ安価なガス単価になります。 基本的に必要な量だけ電気で沸かしてタンクに貯める。 なくなってきたら電気で沸かす。 エコキュートのように夜中で一気に大量のお湯を沸かして貯めるのではなく、必要な時にだけ沸かすという事で電気使用量を減らします。 電気代だけで見ると夜中の安い電気で作るオール電化のエコキュートの方がもちろん安いですが、使っている電気使用量はハイブリッドの方が少ないんです。 この辺りが省エネのポイントですね。 ガス給湯器は貯めていたタンクにお湯が足りなくなった時とか、追い炊きする時に使う程度ですから、極端にガスを使わないんですね。 だからこんな安いランニングコストになるんです。 更に太陽光発電とも相性が良くて、昼間の発電した電気で沸かせるモードや、逆に売電を優先して夜は電気とガスのお得な方で沸かすといったモードもあるので、こんな低ランニングコストになるんです。 ちょっと肩入れすぎた説明になりましたが、とにかくハイブリッド給湯器は良いと思います。 電気とガスのメリット・デメリット オール電化のメリット ズバリ安全性と価格です。 火を使いませんから火事になることもなく、高齢者のいる家でも安全に使えます。 深夜電力を使ってお湯を貯めておくので、電気代も安く済みます。 オール電化のデメリット 停電時にコンロも給湯もすべて使えなくなります。災害に弱いですね 貯めておいたお湯なのでそのままでは飲めません。 深夜電力を使ってお湯を貯めておくので、何かの理由でお湯を使いすぎると一時的に給湯できなくなります。その時の沸き増しはめちゃくちゃ高くつきますよー 都市ガスのメリット プロパンに比べると単価が安い 電気と同じ、インフラとしては万能。 タンク入れ替えや給油などの面倒がない。 メーターは付きますが、外観にブサイクなタンクは付きません 火力が強いので料理に向いているのと、あまり知られていませんがガス乾燥機にも使えます。 都市ガスのデメリット 自由化とはいえ大阪ガスと関電ガスしかない(弊社所在地) 災害時には遮断される。(電気に比べ復旧は遅い) 火を使うので火事の可能性と、まずないが爆発?の可能性がある プロパンガスのメリット 災害に強い。震災後などライフラインが断たれた時も、プロパンガスだけは使えます。 火力が強いので料理に向いているのと、今人気のガス乾燥機にも使えます。 乾太くんのデメリットはあるのか? プロパンガスのデメリット 料金が電気や都市ガスと比べて高いこと。 火を使うので火事の可能性と、まずないが爆発?の可能性がある 古い営業形態の会社があり、正直ぼったくり?と思うような営業方法をする会社がまだある。 また、卸しと小売りがあり地域により出来る出来ないがある。 電気と都市ガスとプロパンガス。じゃあどれ選ぶ? 安全面や料金面で見ると軍配はオール電化です。 いや、欠点も見つからないぐらいの完勝と言っても良いかもしれません。 もうお気づきかもしれませんが、それでも弊社はオール電化が一押しではありません。 その理由として、ちょっと違う角度から比較してみたいと思います。 電気とガスを違う角度から比較する 災害大国の日本ではたびたびライフラインが寸断されてしまいます。 日本に住んでいる以上、いつ大きな地震がやってきてもおかしくはありません。 また、異常気象の昨今では、2019年の千葉や長野のような台風災害が起こる事は、想定しておかなければなりません。 ひとたびライフラインが断たれると、自分の力だけではどうしようもありません。 電気の復旧は早いという神話がありましたが、19年の千葉でついにその神話は崩れてしまいました。 まずは、家自体を災害に強い家にしなければなりません。 そのために許容応力度計算による耐震等級3を確保するのは必須であり、弊社では変更の出来ない標準仕様にしております。下の記事は弊社の考え方です。 地震や災害に強い安全な家 その上で、被災後も考えなければなりません。 生き残る為の性能は当然大事ですが、その後生き続ける事、暮らしていく事も重要になります。 そこで出てくるのが、電気や都市ガスといった災害に弱い熱源ではなく、災害に強いプロパンガスです。 できれば、太陽光とセットでお考え頂きたいです。 そうすると・・・ 災害時には、もちろんプロパンガスも遮断されますが、自ら復旧させる事が出来ますので、ガスコンロは即座に使えます。 水があればお湯を沸かす事も出来ますし食事も作れます。ちなみにタンクに水が残っていれば(エコワンの場合)それを出す事が出来ます。 いかがでしょう。 こう考えると、オール電化に比べイニシャル・ランニングコストが高く付くのは致し方ない所ではありますが、その価格差はエネファームほどの差は無く、何より災害時の強さを考えると、プロパンガスの選択は大いにあり得ると思いませんか? もちろん、これからもっと良い商品も出てくると思います。 電気もガスももっと災害時に強い仕組みを作ってくる事とは思いますが、現時点ではトータルで考えてプロパンガスより良い熱源は無いのではないかと弊社は考えております。 実はもうちょっと、プロパンガスについてはお得な話もあるのですが・・・ それはここではちょっと書けませんので、営業担当の私まで、個別にご連絡頂ければと思います。 後悔しない家づくりに役立つ小冊子差し上げます。下のバナーよりどうぞ。
家を建てる前に読みたいお話
2020.04.30

注文住宅の諸費用解説!諸費用を知って予算を考える方法

注文住宅の諸費用って、そもそも何? 家を建てる為にかかるお金、例えば材料費や設備費などは目に見えますが、諸費用と言われるものは比較的目に見えない物が多いです 例えば登記費用、税金、保証料など(詳しくは後述します)、これらは形としては見えないものに支払うお金ですね ところが建築会社によっては本来本体工事(あるいは付帯工事)に含まれる、外構・庭工事やカーテン工事などまで諸費用に組み入れて、本体工事費用が一見安く見えるようにしているところがあります 本体費用だけに惹かれて建築会社を決めると、後でお金が足りな~い、なんてことにもなりかねないのでご注意を! 注文住宅の諸費用って、何があるの? 先にも書きましたが、諸費用は建築会社が自社に都合の良いように(本体工事が安く見える)、建物価格から抜いて組み込んでいる項目もあります。 外構・庭工事、カーテン工事は本来は本体工事に含むもので諸費用では無いのですが、一旦諸費用の項目として分類してみます 諸費用の分類の考え方としては 誰が仕事をして、誰にお金が発生するか で、諸費用の種類とおおよその金額を理解していくのがわかりやすいかと思います 工務店(建築会社)が見積もりで諸費用とするもの 【設計料】 【建築確認などの申請料】 【補助金申請などの手数料】 【地鎮祭】 【都市ガス・プロパンガス工事】地域によっては施主様直工事もあります 次の項目は本来は本体工事(あるいは付帯工事)に含まれるべき費用です 【外構・庭工事】 【カーテン工事】 司法書士、土地家屋調査士にかかる費用 【所有権移転登記費用】土地を購入される方 【抵当権設定費用】ローンを組む方 【敷地測量費】該当する方のみ 【建物表示登記】 【所有権保存登記】 【他もろもろ】細かすぎるので省きます なお、司法書士さんへ支払うお金には、報酬と税金(登録免許税)が合計して含まれています 不動産屋に支払う費用 【契約時の印紙代】 【契約時の振込手数料】 【仲介手数料】販売価格に含まれていない場合があるので注意 住宅ローンにかかる費用(銀行版) 【融資手数料】 【保証料】 【印紙代】 【振込手数料】支払いは3回ないし4回に分けるのが一般的です。都度発生します 税金系 【不動産取得税 土地・建物】1回のみ 【固定資産税 土地・建物】年々減りはしますが、毎年払います 【都市計画税】毎年払います 厳密にいうと印紙税などはこちらの税金に含まれますが、各々の項目に入れました 保険系 【火災保険】 【生命保険】ローンに関する保険で、団体信用生命保険(団信)ともいいます 【地震保険】任意です ライフライン系 お施主様が直接払う費用 【水道加入金】 【下水道の受益者負担金】加入金のようなものです 様々な申し込みに必要な費用 【発行手数料】住民票、全部事項証明書、所得証明書、印鑑証明など これらのために何度もお役所に行くことになります こんなものこそ簡素化してほしいですね お施主様が購入する、あるいは考えておいてほしい費用 【新規購入】家具、家電 【引っ越し費用】 【印紙代】売買契約時 【近隣挨拶】手土産など 【通信手続き】ネットや衛星放送 【自治会費】自治会によってまちまちです 結構高額なところもあります 【上棟時】※1 ※1 職人さんたちに配るお弁当やご祝儀です もちろん強制ではありませんし、義務でもありません 弊社ではお断りしていますが、是非に、と言われた時にはお受けしております (^^;) 注文住宅の諸費用って、ざっくりいくら? 諸費用の項目はざっとこんな感じです。 思ってたよりめちゃくちゃ多くないですか? 当然気になる所だと思うのですが 「ほんで、ナンボよ?」(笑) 実は個々のお客様の条件により、金額や内容は大きく変わります。 また、先にも触れましたが、本体工事費用に外構・庭工事などを入れない見積もり (諸費用に入っている) と、入れている見積もりでは同じ内容でも見た目の価格が全然違ってきますので注意してください 注文住宅にかかる諸費用を表にしてみました 個々のお客様のケースで大きく変わるため、正直金額を出すのは難しいです 弊社の場合として下記の条件で出しましたが、あくまで参考程度にしてください 彦根市で1000万円の土地を購入し、建築費用2500万円の家を建てると仮定しました 862万円!!! ちょっとびっくりの金額ですね 諸費用の一般的な目安として 土地代金・建築費用の合計の10%~12%前後が注文住宅の諸費用と言われています そこから導くと今回のケースでは土地建物で3500万のため、350万から420万円になります 10~12%と言われる諸費用には、引っ越し費用や家具家電など御施主様にて購入する物の費用は含まれていません。 それこそ、家具も家電も趣味嗜好が影響する物ですし、引っ越しも自分でどこまでするのかで金額が全然違うからです。 また、住宅建築に関係する諸費用には本来含めない、設計料や申請費、外構・庭工事が入ってしまっています。 だから、高額になるんですね。 ちょっとその部分だけ整理しましょう。 862万円と算出された諸費用から、本来は建物本体価格に入れる工務店の項目(外構・庭工事、カーテン工事、申請料)を引くと  862万-330万(工務店の項目)=532万円 532万円から、家具・家電を引くと  532万-180万=352万円 となります。 目安の金額の範囲に入りましたね。 これが一般的に言われている10~12%の諸費用の根拠です。 でも、実際には家具・家電も、大なり小なり発生する費用なので、ここでは諸費用に加えたままにし、532万円で計算を進めていきます。 注文住宅の諸費用・・・お金を生み出す工夫の余地はある 削れるところは削ろう 無茶な計画している訳ではないし、いったいどこが削れるのか? 申し訳ないのですが、、、そんなに削れる所がたくさんある訳ではありません やはり、お施主様自身の項目で絞ってみましょう となると、 後で買い足し出来るもの、もしくは買い直し出来る物 これが一番削りやすい所です。 わかりやすい所ですと家具や家電です。 新しい家具・家電は最小限にして、予算は180万円から130万円にしましょう。 その他の項目も、上棟の際のお祝いの見直しや、引っ越し費用の見直しで予算を70万円から50万円と削減しましょう こうすれば、施主様自身が使う費用としての諸費用額が、250万円から180万円へと70万の減額が出来ます。 今回はあくまで費用を削減したい時のテクニックです。 家具にしろ家電にしろ、何でもかんでも諦めろと言っている訳ではありません。 お気に入りのアンティーク家具、豊かに暮らす為の音響システムなど、あなたやあなたの家族にとって必要な物にはしっかりお金を使ってもらって結構です。 その時はここの予算を必要な分だけ上方修正して下さい。 優遇措置や補助金を利用する 税制優遇や補助金を説明する上で一番重要な事を先にお伝えしておきます 補助金・助成金及び税制優遇については、 これから予算を考えるうえでは、決して計算に入れないようにしてください。 頭の片隅にはしっかり置いて頂きたいのですが、予算に入れてしまうと痛い目にあう可能性があります。 後で説明させて頂きますが、この補助金ほど不確定要素満載の物はありません(笑)まず、補助金や優遇を計算に入れない形で、予算が成り立つように考えて頂き、計画が具体的に進んできたら、想定に入れていくと、破綻する事なくスムーズに計画が進んでいきます。 では説明していきましょう 弊社の場合、全棟長期優良住宅、耐震等級3を必ず取得していますので税金や保険で優遇措置が受けられます まず保険ですが、火災+地震で10万円ほど安くなると思われます またローンを組まれると年末で残っているローン額に対して0.7%を掛けた金額を13年間、所得税等から控除してくれます。 凡そになりますが3000万のローンの初年度で16万ほど還元されます。 また、長期優良住宅は一般的な住宅に比べ固定資産税(家のみ)の優遇措置が2年余分にあります。 ザックリ年間で12、3万の固定資産税がかかるのですが、長期優良住宅は5年間半額になります。 単年で約6万ほど助けてもらえる事になりますね。 次は、額も大きくなる補助金・助成金です。 知ってるのと知らないのでは大きな差が出てしまいますので、しっかり有効活用しましょう 長期優良住宅のような性能の高い家には、国、地方自治体(県や市)がそれぞれ補助金や助成金を出しています。 国からは、長期優良住宅やゼロエネルギー住宅には100~160万の補助があり、2022年からは子育て・若者世帯が新築・リフォームをする場合、内容に応じて60~100万の補助金を出しています。 県や市町村でもそれぞれ独自の補助金を出しておりますが、国庫を利用する補助金は併用出来ない事が多いのでご注意下さい。それぞれの税収を使った補助金の場合は併用が可能です。 滋賀県で建築するとして、上手に補助金が取得できると  国(長期優良住宅) 160万円  県(県産材利用)   40万円   ※ 2021年度実績です。年度が変われば内容も変わりますので確約出来る物ではありません。 合計200万前後の補助金の取得が可能です。ここにそれぞれの市町村の補助金もプラス出来ると大変大きな”助け”となりますね。 とはいえ、先にも言った通り、この補助金をアテにして予算を組む事は避けましょう。 国や県の補助金は予算が無くなれば終了とか、昨年まであったのに本年度から無くなったりしますので、それをアテにして予算を組むと跡で予算が足りないなど、大変な事になってしまいます。 まずは、補助金の部分は一旦考えずに、現状で成り立つよう計画を組みます。 今回触れていませんが、実際建築していく上で多少の追加増減工事があるのと、地盤改良工事などが発生する事があります。 補助金はこういった費用に充当するぐらいのイメージで考えて頂くのが良いかと思います。 補助金や助成金は毎年変わりますし、様々な種類のものがあります。 お願いする工務店の協力は必須ですし、工務店によっては対応しない(知らない)工務店もあります。 何もせずとも補助金は貰えるんだと人任せにせず、ご自身でも調べる事が大事です。 諸費用はすべて現金で用意しなければいけない? 先ほど、532万円の諸費用を基本で進めて行く事にしました。さてどれだけの削減となったでしょう 家具・家電、その他費用で70万円の減保険系で10万円の減 合計で80万円減額出来ました 諸費用は532万円-80万=452万となりました それでもこれだけのお金を現金で用意するのはなかなかのハードルですね 最終手段です。 実はこの諸費用の中にローンに組み込める物があります 最終的にはお支払い頂く事に変わりはありませんが、ローンに組み込めれば、現金で用意する必要はありませんよね。 ローンに組み込める費用は銀行によって多少違いがありますので確認は必要ですが、 保証料や登記費用もローンに組みこめます 今回の場合ですと司法書士などにかかる登記料50万円と、ローンの保証料65万円が対象になるので、 現金で用意するのは 452万-115万=337万 となります 注文住宅の諸費用 家を建てる以外に337万円の資金が必要とシュミレーションされました 冒頭に書いたように諸費用はお客様の状況により金額に違いが出てきます。 土地を購入しない方と購入の方ではその経費も変わりますし、更地でなく中古物件付ですと解体費用もかかります。 時には申請費用がたくさんかかる場合(開発申請や農地転用などする必要がある土地など)もあります。そういった時は自己資金で賄う状況になる事もあります。 そこまでになると計画を具体的に進めて行かないと金額は出て来ませんので、工務店としっかり確認しながら進めて行く必要があります。 そういったケースは別としまして、一戸建てを新規分譲地や、解体された更地で建てたいなと考え出した時には、少なくとも上記程度の諸費用が必要になるんだと想定して、自己資金は用意しておく方が良いでしょう。 今は銀行の金利もとても安く、ローンを組むにはとてもいいタイミングです ローンについての記事はこちらをどうぞ 住宅ローン、いくら借りられるか?など不安を感じる方に読んで欲しい 建てた家によってかかる光熱費が変わる事を知っておきましょう 光熱費の平均を出してみた 一戸建ての高性能の家と築27年の家 住宅にかかるお金以外、教育資金や生活防衛資金まで含めたライフプランを一緒に考えませんか? 資金計画でご不安のある方はまず一度、ぜひご相談ください 施工範囲以外の方のご相談も承っております 詳しくはこちら ↓ 家づくり無料個別相談会
家を建てる前に読みたいお話
2020.04.15

夏涼しくて冬暖かい家を、高断熱高気密で作るコツ

夏少しの冷房で涼しく、冬少しの暖房で暖かい家 「夏涼しく冬暖かい家に住みたい!」 誰もが思う事だと思います。 各部屋をエアコンや暖房器具で暖めたり冷やす事も出来ますが、たくさんのエネルギーとたくさんのランニングコストを使う事になってしまいます。 現在の家造りだと設計と条件にもよりますが、エアコン1台でそれを叶える事が出来るのです。しかも家中どの部屋に行ってもほぼ同じ室温になります。 そのような暮らしを希望されるなら、家を高気密高断熱な性能の家にする事は必須になります。 でも正直な所、 「高気密高断熱の家」 と、ほとんどのハウスメーカー、工務店はその会社の特徴として謳っておりますので、「どこに頼んでも問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、残念ながらそれもちょっと違います。 実は高気密高断熱にはどの数字なら高断熱で高気密だという定義がないため、自分で高断熱だ!と言ってしまえば高断熱になってしまうのです。 では何を基準に判断すればよいのか? 夏涼しく、冬暖かい家が欲しい人にぜひ知っておいてほしい数値があります。 まずは断熱性能を示す数値であるUA値です。 私の住む多賀町(滋賀県)は日本全国を気候に合わせ8つの区域に分けた地域区分で5地域となり、現行の省エネ基準では0.87という数値を確保しなければなりません。 まず第一段階がここになります。 2021年4月から、家を建てる者(提供する者)は省エネ性能の説明義務化が法制化しましたので、ハウスメーカーや工務店からも必ず説明はありますが、忘れずにこの数値の確認をしてください。 でもここでご注意を。 この数値をクリアしたからといって、夏も冬も快適な暮らしが出来るかというとそうではありません。残念ながら、建てる為の最低条件をクリアしたというだけで、まだまだ「夏暑くて冬寒い」家のままです。 上を見ればキリはありませんし、もちろん断熱性能だけで快適が決定する訳ではありませんが、最低でもUA値は0.5以上ないと、ご希望される「夏涼しくて冬暖かい」暮らしを光熱費を抑えながら得る事は出来ないと思います。 注)UA値も、あとで述べるC値も数値が小さければ小さいほど性能は良くなります 次にC値です。これは家のスキマを表す数値でして、つまり気密の性能を表しています。 UA値(高断熱)については、さきほど述べたような一応の基準がありますが、このC値については法律などで規定されておりません。 だから3.0であろうが0.1であろうが、あなたが契約しようとしている会社さんが 「高気密の家です!」 と言えば、高気密になってしまうんです。 規定もルールもありませんからね、 怖いなって思います。 こちらについては、数値の基準が無いので何とも申し上げにくい所ではありますが、やはり1.0は欲しい所で、0.5までいけば理想的だと思います。 ざっくりでいうと35坪ぐらいの家で1.0だと携帯電話の大きさぐらいのスキマで、0.5だと名刺ぐらいのスキマがあるとお考え下さい 先程の断熱性能を表すUA値は設計段階で出される数値ですから契約前にお答え出来ますが、C値については建物が出来てからしか出せない数値になります。 「弊社の建てる家は0.4以下です」 と言っても必ず出来るかどうかは、完成してからしかわかりません。 ですので、高気密の家を謳っている工務店さんにC値を尋ねる時は、もちろん会社の基準の確認は必要ですが、”気密測定”をしているかどうかの確認も忘れず行って下さい。 「普段から0.5出してますから、今はやってません。でも大丈夫ですよ」 なんて言葉で安心してはいけませんよ。 測らなければわからないのが”気密”です。 補足になりますが、断熱性能は設計段階で出せる数値ではありますが、しっかり断熱工事をしていなければ設計時の能力を発揮する事が出来ません。 高断熱、高気密は、数値の確認も大事なのですが、いかにしっかりとした施工をしているかが、実は一番重要なのです。 そうは言っても、こんな数字覚えるの面倒くさいな なんて方もいらっしゃるかもしれませんので、もっと簡単にしっかり高断熱高気密に取り組んでいる会社さんかどうかわかる質問があります。 「御社の断熱性能はG1グレードですか?それともG2ですか?ひょっとして省エネ基準ですか?」 「UA値や、C値ってよく聞くのですが何ですか?」 これらに答えられなかったり、UA値・C値が説明できない会社に“夏涼しく冬暖かい家“を求めるのは、そもそも無理があるといえます。 検討先からは外されても良いかもしれません ちゃんと答えてもらった時点でまずは第一段階はクリアですが、そもそも数値の解釈は一般の方には大変難しいと思いますので、その会社さんが建てた家の具体的な冷暖房費を聞いてみるのも良いかもしれません。 最近では、それぞれの家、それぞれの家庭の暮らし方による様々なシミュレーションが出来るようになっています。あなたの家の間取りや日射取得(窓から入る太陽からの熱)によってどの程度の冷暖房費がかかるかわかりますので、一つの検討材料としては良いかもしれませんね ここからは先程から述べている事をもう少しだけ詳しく説明させて頂きます。 前に書いた分でも路頭に迷った方はここからは読まないで下さい(苦笑) 興味の沸いた方だけお読み頂ければと思います。 断熱性能の基準値 先の建築会社の見分け方の質問の中に、G1グレードや省エネ基準という言葉が出ました。 まずはこれらが何であるかを簡単に説明しましょう。 先にも述べましたが、 日本では国を1から8の地域に分けて、求める断熱性能の基準を変えています。 例えば北海道の旭川市は1地域で、沖縄は8地域になります。 弊社のある滋賀県は、近江八幡市、草津市、守山市は6地域でそれ以外は5地域に区分されます。(新区分) その地域ごとにUA値を設定しておりまして、これを建築時には遵守しなければいけないようになっております(改正省エネ法) 但し、これは義務化ではありません。 極論言うと望ましいという数値になります。しかしながら工務店はこの数字を遵守出来ない場合、 必ずお客様に説明し、了承を得るよう説明する事が”義務化”されました。 玉虫色決着が大好きな日本人らしいですね 義務化すれば良いのに、この法律では「説明して了承える事を義務化」としています。つまり了承が得られれば守らなくても良いんですね。 賢明な皆さまは決してそんな説明にハンコは押されないと思いますがご注意下さい さてUA値の説明に戻ります。 UA値とは家全体の外部に面している面積(外皮面積)に対して、どれくらいの熱量が外に逃げているかを表します。 数字の小さいほど性能が高くなります。小さい数字の方が良いということですね。 現在、改正省エネ基準で推奨されているUA値は弊社のある5地域の場合 省エネ基準 UA値0.87以下 ZEH(ゼッチ)基準 UA値0.6以下 また民間が作った断熱基準としてHEAT20という基準がありそこでは G1グレード 0.48以下  G2グレード 0.34以下  G3グレード 0.23以下 となっています。 さて、いろんな基準が出てきました。 先程から説明している省エネ基準は、国土交通省の定める基準値になります。 残念ながらこの基準では全くと言って良いほどダメな断熱性能です。 またZEH(ゼロエネルギー住宅の略)の基準と言われる0.6でも、世界のレベルを見た時にあまりにも低いということで、民間レベルで考えられたHEAT20という基準が生まれました。 一番性能の良い基準のHEAT20については次にまとめてみました。 HEAT20とは? HEAT20とは長期的視点に立ち、住宅における更なる省エネルギー化をはかるため、断熱化された住宅の普及啓蒙を目的とした団体です。 簡単に言えば、今の日本の住宅の性能レベルは低すぎる! と、改善に立ち上がった有志団体です。 メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体によって構成されています。 そのHEAT20が冬の暖房期に部屋に居る時だけ暖房をつける想定(5地域)でのシミュレーションしています。 以下が出典元です。 出典 一般社団法人HEAT20 ■ 暖房期最低室温 5地域 部分間欠暖房  HEAT20では、G1は最低室温をおおむね10℃に保つことにしていますが、これは非暖房室の表面結露の防止、すなわち住まいの健康を主目的にしているものです。 G2は1・2地域を除けばおおむね13℃、 G3はおおむね15℃以上を確保することとしており、これらは室内の温度むらを小さくし、住まい手の暮らしやすさの向上や温度ストレスを考え設定しています。  ・省エネ基準の家:おおむね8℃を下回らない  ・G1グレードの家:おおむね10℃を下回らない  ・G2グレードの家:おおむね13℃を下回らない  ・G3グレードの家:おおむね15℃を下回らない ■ 住宅内の体感温度が15℃未満になる面積比割合  5地域 部分間欠暖房   この指標は、単純に住宅内のどこかで15℃未満となる時間の割合を示すものではなく、住宅内部で15℃未満となる時間・面積が全体のどれくらいあるのかを示したものです。 実際の住宅においては、時間のみならず空間の温度むらも考慮して検討することが好ましいという意図から、HEAT20独自の指標で説明しています。  ・省エネ基準の家:30%程度  ・G1グレードの家:20%程度  ・G2グレードの家:15%程度  ・G3グレードの家:2%程度 ■ 省エネ基準と比較した暖房負荷削減率  5地域 部分間欠暖房 (光熱費に直結します) HEAT20では、省エネルギー基準の住宅に対して、どの程度の削減効果がありそうかの目安を「平成28年基準からの暖房負荷削減率」として示しています。  ・G1グレードの家:約45%削減  ・G2グレードの家:約60%削減  ・G3グレードの家:約80%削減 以上を見ると当然G3グレードが一番性能がいいので『G3グレードにして下さい!』と言いたくなりますね。 もちろんG3グレードにこしたことはないですが、実はG2レベルにするのにも5地域(地域区分表)の場合は付加断熱(壁の中と外の2重断熱)までやらないと現状では実現できない可能性が高く、どうしてもイニシャルコストが上がります。 このあたりのバランスについては後で述べることにします。 高断熱は夏を基準にするのか?それとも冬か? 割と暖かい地域に住んでいると 夏の暑さ対策の方が重要だ! と言う方もいらっしゃるでしょう。 日本の住宅は夏を旨とすべし、なんて言葉もありますからね。 しかし、冬の断熱性能を上げると自ずと夏の遮熱性能も上がってきますので 断熱計画は冬を想定して考えるのが良いでしょう。 (いくつか夏用に考えるポイントはあるのでご心配なく) 事実、電気代は夏より冬の方が圧倒的に増えます。弊社のお客様のデータを見ると夏の電気代の1.5~2倍が冬の電気代になります。 断熱に関わる数値の話・推奨する基準数値 勿論数値がいいに越したことはありませんが、費用対効果を考慮した上で、 個人的には5地域ならば、G2により近いG1グレードで良いと思います。 (6、7地域ならG2グレードの仕様は大したコスト増もなく出来ます) サクっと個人的な推奨値。(5,6地域) UA値:0.50以下 C値:1.0以下 以上を最低ラインにしておけば光熱費も抑えられ、家じゅうがおおむね同じ温度で、体に優しくヒートショックや結露も起こりにくい家になると思います。 ただ、数値だけに囚われて建築会社の数値合戦に惑わされないようにしましょう。 冷房なしで涼しくて、暖房なしで暖かい家 パッシブデザインで作る家 次は“冷房なしで涼しくて、暖房なしで暖かい家”です。 これはパッシブデザインの考え方の一つで、家の形や配置、間取りによって作ります。 パッシブデザインについてはこちら ↓ 設計の始まりはまず土地を読むこと こちらも高断熱高気密は大前提として考えます。 “冷房なしで涼しくて”は、 いかに日射を遮って風を通すかがポイントです。 “暖房なしで暖かい”は、 いかに日射を取り入れて熱を逃がさないかがポイントです。 相反することなので難しいですが工夫をすればいい着地点が見つかります 基本熱を逃がさないためには窓は小さく少なく高性能な方がいいのですが、南からは冬場の日射を取り入れなければいけません。 よって東西北は小さく少なく遮熱性の高い窓にし、南面は大きい窓で日射を取り入れるのが基本になります。 ただし、それでは夏は暑いので、南面はひさしを付けたり外付けブラインドやヨシズ等を利用して遮ります。 外付けブラインドは目隠しにもなりますし、多少の雨なら窓を開けられる、そして窓の外で熱を遮るのでお勧めですが、まだまだ価格が高く効果による冷房費の削減に限って計算すると元は取れません。 割と安く効果があるのはひさしです。 ヨシズが合わない洋風の外観でも使えます。 注意するのはひさしの大きさですが、冬の太陽は低いとは言え深すぎると日射を取り入れることができませんので、冬に日が入り夏は遮る深さにしましょう。 夏場の過剰な日射取得は掃き出し窓(テラス窓)はひさしの深さ、腰窓や高窓は軒の出によりある程度コントロールできるのです。 風の吹く方向は地域ごとにデータは有るものの、周辺の環境により変わってきたり日によって違ったりするので、出来るだけ4方向から取り入れるように考えましょう。 出来れば2階ホールの窓は高い所に付け熱い空気を排出しやすくします。 以上が基本的な考え方ですが注意したいのは、南側の窓から見えるのは隣の家の壁と窓や人通りの多い道路という景色で、西側は大きく開けていて眺めのいい景色、って時に基本を守っていてはロケーションがもったいないですね。 西側の大きな窓は夏の西日の暑さというリスクはありますが、眺めのいい景色を得る事で心豊かにすごす暮らしを優先しがっつりと大きな窓を取り入るようにしましょう。 パッシブデザインは素晴らしい設計手法ではありますが、実際のところ、弊社のある滋賀県多賀町ではいくら高断熱高気密でパッシブデザインの家を造ったとしても、無暖房無冷房の家にはなりません。 特に冬場は雪も多く陽射しがゼロの日が長く続きますし、最近の異常気象で夏場の気温もハンパなく上がっています。 ですので、何かだけ特化させるような考え方ではなく、 家全体をバランス良く設計する事が大切だと考えます。 基本は基本で固執しすぎないようにしなければなりません。 明るい部屋 夏涼しく冬暖かいには関係ないと思われる“明かり”についても少し説明します。 一見関係ないようですがパッシブデザインの要素の中には、自然光を取り込む「採光」という考え方があります。 軒を深くしたら部屋が暗くなるんじゃないか? という疑問から窓にも関係してくるので、一緒に考えなければならない項目です。 通風計画と共にどの部屋も日中は照明を点けなくても過ごせるところに、窓を配置したいところです。 どうしても無理な場合は、照明器具もLEDが主流ですので照明で補うのも有りかと思います。 ただ、リビングや子供部屋等の居室は自然光だけで過ごしたいですね。 夏の日射を遮るために軒を深くして部屋が暗くなると思われがちですが、 そこまで暗くはなりません。 例えば、北側に公園があったとします、家の中から見た時に北面の窓は直射が入らない窓ですので暗く思われガチですが、その公園の中心から見るとあなたの家の方向は南面、つまりサンサンとその公園には光が降り注いでいます。 北面でがありますが、その反射で充分な明るさが得られるぐらいですから、多少軒が深くても外が明るければ充分、光は取り込めますので安心して下さい 夏涼しくて冬暖かい家を、高断熱高気密で作るコツ 夏涼しくて冬暖かい家が欲しいと思ったら、ついつい性能数値ばかりに目が向いてしまいます。 そこを売りにする会社さんが間違いという訳ではありませんし、高性能な家がダメな訳ではありませんが、それだけでは”家に帰って安らぐ”とか”心地よい暮らし”という部分を欠落させてしまう可能性もあります。 まずは健康に過ごせる最低ラインから希望と予算を照らし合わせ、性能を上げていくのがいいのではないでしょうか。 性能を上げるには窓の選定や断熱施工、気密施工などもポイントになってきますが、それらはまたの機会にします。 依頼先に求める断熱性能がある程度見えたなら、その要望を伝えましょう。 それにこたえられる会社なら窓の選定などもおのずと出来ていると思います。 そして可能なら施工現場の見学や、分からなくても施工方法を聞いてみるのも良いかもしれません。 しっかりしている会社ほど、そういった説明もしっかり出来るとおもいます。 ここまでくればほぼ間違いありませんが、コツというか、やはり気を付けて頂きたい点は、 性能だけを追い求めるあまり、コストが嵩んでしまい、一番大事な「暮らし」が貧しいものになる事です。 折角快適な空間を作れたのに、そこから見える景色を遮り、風通りも考慮せず、家族の集まる居場所を作くれなかったとなるとまさに本末転倒です。 数字的な部分もすごく大事ですが、そういう部分も見逃さないよう総合的に家造りは進める必要があります。 玄関ドアも断熱性能の高いものを選びたいですね 断熱効果の高い玄関ドアを選ぶ 後悔しない家づくりに役立つ小冊子差し上げます。下のバナーよりどうぞ。
家を建てる前に読みたいお話
2020.03.12

滋賀住宅展示場のイベントにつられずに見学する方法

滋賀住宅展示場に行く前に準備すること なぜ、住宅展示場に行くのに下準備するのか 住宅展示場にはハウスメーカーが10社ほどは出展しているでしょう。 例えば滋賀の近江八幡住宅展示場では セキスイハウス 一条工務店(2棟もあります!) アイ工務店 レオハウス トヨタホーム 住友林業 セキスイハイム ヤマダホームズ パナソニックホームズ 石友ホーム ワークホームズ これだけのメーカーが出展しています。 名前は聞いたことがあっても、どんな家を建てているのか、いくらくらいなのか知っていますか? 知りませんよね。 そうすると何となく入ったモデルハウスで、感じの良い営業さんに勧められて、「予算も合うかも?」くらいのノリで、商談に入る人が多いのが事実です。 車を買うときや洋服を買うときは調べて、比べて、買うのに、一生に多分一度しかない家を建てるのに、そんなことでいいのでしょうか? なので、下準備をしましょう、ということです。 どのハウスメーカーを見るのかを決める こんなサイトがありました。 【2020年版】注文住宅おススメハウスメーカーランキング20社! 多分検索すると他にも着工数などのランキングサイトなどもあるでしょう。 それらの情報をもとに、ホームページなどを見て、鉄骨系か木造系か、外観の雰囲気、性能などなど自分たちのイメージに近そうな会社を3つくらい選びましょう。 それらを住宅展示場に行ってから判断するのは難しいですし、時間のロスにもなるのでこの辺までは押さえてから行きましょう。 さて、そうしたら実際に住宅展示場に出かけて、お目当てのハウスメーカーのモデルハウスを見に行きましょう。 2つ注意点 総合受付で「アンケートをお書きください」ってことがあると思います。 住所や電話番号を記入すると、見学に行ったハウスメーカー以外からも営業の方が訪問に来られたりとかもあるかもしれません。 お休みの日には各社イベントをしていると思います。 子供がそのイベントにふらふら~と行きそうになっても、そこはしっかり行くと決めたハウスメーカーにまっしぐらに行ってください。 滋賀住宅展示場に入ったら必ずすること 正直言って住宅展示場にあるモデルハウスは、あなたの家づくりには役に立たないかもしれません。 というのも、大きさも設備も仕様もとても豪華に作られているからです。 多くのハウスメーカーの家づくりは、標準仕様というものの中からチョイスして組み立てていくということが多いと思います。 そういう意味ではモデルハウスはオプションの塊と言えるでしょう。 では、何を見るのか?あなたに対応してくれた営業の方です。 もし、その会社で家を建てることになったら、担当者はその営業の方になります。 家づくりは打ち合わせの積み重ねです。 やっぱりそうなると、担当者との相性は大切です。 何となく相性悪そうだなとか、感じ悪いなという感情を持ってしまったら、そこはやはりやめておいたほうが良いと思います。 雑談などをしながら、家を見るふりして、(いえいえ、家も見てくださいね)営業の方の人となりを観察してください。 多分自社の良いところをガンガン説明されると思いますが、他社の悪口をいうような人はだめですね。 良い見分け方をひとつ。 「もし家を建てるなら、自社以外ならどこのハウスメーカーで建てますか?」 と、営業の方に聞いてみてください。 (この方法は実は工務店仲間の人に教えてもらいました!) そのとき、素直に 「それなら僕は○○ハウスさんで建てたいです」 と、返事できる営業の方は自社だけでなく他の会社のことも認めているわけで、そういう人は自社の得意なこと、不得意なこと、をちゃんと把握している人だと思います。 そんな観察をしつつ、あまり長居はせずに次の目的のハウスメーカーに行きましょう。 長居するとどうしても疲れて判断能力が落ちますし、初めてのお話では他社との比較も出来ない状態です。 もし、そこが気に入ったとしても、いったんは次のお約束だけをされて次へ行きましょう! どのハウスメーカーに決めるか 大手のハウスメーカーは自社だけの工法であったり、仕様であったりがあります。 それを他社と比較するのは難しいので、 自分が建てたい家はどんな家なのか、を今一度問い直す。 デザイン重視なのか、地震に強い家なのか、光熱費のかからない家なのか、あるいはそのバランスなのか。 大手ハウスメーカーであれば性能はそこそこ良いと思います。 使う材料はやはり規格品の工業製品が多く、無垢材、自然素材などは難しいでしょう。 その上で間取りや価格、そして担当者の人柄が決め手になることが多いようです。 新建ハウジングさんに項目別の満足度が出ていたのでここに貼っておきます。 家を建てる先、工務店、ハウスメーカー、設計事務所の違いについての記事です 家を建てるなら、工務店?それともハウスメーカーや設計事務所?
家を建てる前に読みたいお話
2020.03.10

新築するなら室内干しの場所を確保しよう

新築するなら室内干しのすすめ これは言うまでもなく天候を気にしなくて済むこと。 共働きが多い現在では、いちいち天候を気にして洗濯物を外に干すのはストレスです。 子供を保育園に迎えに行って、家に帰ってご飯を作る前に洗濯物を取り込んで、という一連の流れは忙しい夫婦にとっては大変です。 あとは防犯上の意味で、若い女の子が住んでいるなどの家族構成を知られなくてすむことですね。 室内干し、干す場所はどうする? これから新築を考えておられるのならば、どこで干すのかは必ず考えておきたいポイントです。 アパート住まいだとカーテンレールにかけてみたり、和室の鴨居に引っ掛けてみたりをよく目にしますね。 でも、せっかくこれから家を建てるのにそんな事態に陥るのは絶対避けたいところ。 普段は外干しで、専用の屋根付きスペースを作ったとしても、1年中外でばっちり乾くことはあり得ません。 それならば家の中に洗濯物を干せるスペースを最初から確保しておいたほうが、天候も取り込みも気にせず毎日が快適に過ごせますね。 洗面室に作る場合はご注意を いろんなブログを見ていても、洗濯機のある洗面室で洗濯物を干しましょう、とよくあります。 確かに動線が短くて一見便利そうなのですが、注意点があります。 まず十分な広さがありますか? 洗面室は朝、身支度をしたり日中も手を洗ったり、夜にはお風呂の脱衣に使ったりと、家族の出入りも多いところです。 そんな場所に洗濯物がぶらぶらと下がっていると、使いにくくて困ります。 洗面室に干すスペースを作る場合は、干した状態でも他の動作がしやすいかの検討が必要です。 板張り天井の脱衣室も兼ねた造作洗面台のあるランドリールーム こちらは洗面室を少し大きくして、常時物干しを設置した例です お風呂に行くときは、洗濯物を端に寄せます この家の詳しくはこちら 大きさを少し大きくして洗濯機の上のスペースを利用する、余裕があれば洗面室と洗濯室(干すスペースも含めて)は分けたほうがいいですね。 こちらは洗面室横にランドリールームを作り、その奥はウッドデッキにつながっています この家の詳しくはこちら 動線上に作る場合はご注意を ここでいう動線とは廊下などですね。 洗面室と同じことが言えるのですが、通るときに邪魔になると生活していく上で結構なストレスになります。 それでも動線上に作ると便利なことは確かです。洗濯が終わりウオークインにつながる廊下で干し、乾いたらすぐ隣のウオークインに片付ける。という流れが出来ます。 こういった場合は最初から通路幅を少し広くしておくことが必要です。 オススメは2階ホール? 一番いいかなと思うのはリビングの一角などに目隠しされた状態で作れることです。 あるいは2階ホールなどや目立たない位置の吹き抜けは、人の目にも入りにくいですしおススメです。 ただ、洗濯物を日常的に2階へ持って上がるということになりますから、歳をとってからが大変になるかもしれません。 そう考えるとやはり専用の洗濯室(スペース)を1階に作れるのがベストですね。 室内干し じゃあ、何を使って洗濯物を干すか どんな設備があるのか見ていきましょう パナソニック ホシ姫サマ 画像は天井埋め込み、電動タイプ。脱水後10キロ対応。メーカー価格¥91000 パナソニック ホシ姫さま 川口技研 ホスクリーン 画像は天井取付 標準サイズ 耐荷重15キロ メーカー価格¥17300 ホスクリーン 森田アルミ工業 pid4M ワイヤー4m 最大荷重10キロ メーカー価格¥12000 PID 森田アルミ工業 kacu E型 Lタイプ メーカー価格¥18600 kacu 森田アルミ工業 kururi オープン価格 kururi 代表的ものを上げてみました。 こちらの画像では出しませんでしたが、ホシ姫サマでも手動タイプがありますし、ホスクリーンでも手動による昇降式があります。 室内干し 比べてみよう 各製品を見てみましょう まず、天井埋め込み式は見た目がとてもすきっりします。(ホシ姫サマのみ) ただ、日常的に室内干しをするなら毎日収納することもないでしょうし、普段外干しの方の緊急避難的な設備なように思います。 普段使わないものに場所をわざわざとるのは嫌だな、と思われる方が多いのでしょうが、何も考えずにリビングなどに設置すると、お客様の集まる雪のお正月のリビングに洗濯物がぶらぶらなんてことになりかねません。 やはりリビングであっても視覚に入りにくいところ、あるいはリビング以外に設置したいものです。 画像の川口技研のホスクリーンのポールは実は天井から取り外しができます。 くるっと回してロックを外します。 ただ、取り外しが出来てもポールや竿はどこかに直す必要がありますし、すっきりさせるという意味では天井埋め込みのホシ姫サマのほうが竿ごと天井に収まるので良いと思います。 逆に竿を片付けないという前提ならば、価格も安価ですしホスクリーンのほうが優れていると思います。 PIDは先の2点とはまるでコンセプトの違う商品です。 まずデザインがとてもきれいで、その上ワイヤーの出し入れも手軽に行えます。 ワイヤーのたわみもないようですし、4mという制約をクリアできればどこかにつけておくと助かるように思います。 同じくkacuもデザインが優れていますね 物干し竿というよりはインテリアの一部として、違った使い方もできそうです 見せる物干しとして、使わないときにもそのままにしておけそうですね kururiが特徴的なのは画像でもあるように竿をかける部分に角度を付けられること エアコンの前などに緊急避難的に用意しておくのはありかもしれませんね(2枚目の画像) 家の性能やプランに注意 ここまで読んで頂いて、疑問に思われた方があるかもしれません。 冬の洗面室や廊下に干して乾くの?まして2階ホールって。 正解です。 気密断熱の良い家で、家中を一定の温度湿度の保てることが条件になります。 ですから、これから家を建てる方はそういった家の性能にも十分注意してくださいね。 また、サーキュレーターの併用や留守の時でも外気の取り込みが出来る工夫があると1年中快適に使えそうですね いうまでもないことですが、風の流れ、日射の取り込み具合、などを季節ごとにシュミレーションしてもらってください。 室内干し 番外編 機械に任せる 竿に干す以外にも機械に任せる方法もあります。 特にタオル類は天日干しではゴワゴワと固くなることも多く、私などは機械に任せたほうが良いと思うくらいです。 おススメは ● ガスを採用されるならガス乾燥機 リンナイの幹太くん ● ヒートポンプ式ドラム式洗濯機の乾燥機能 逆におススメしないのが ● 浴室換気暖房乾燥機(電気式) になります。 浴室を温める程度にはいいかもしれませんが、衣類の乾燥には電気代がかかりすぎの割には干す量も限られおススメ出来ません。 下は幹太くんを実際に使ってみた感想を記事にしたブログです。 乾太くんのデメリットはあるのか 室内干しのスペースとともに考えたいのがウオークインクローゼットの作り方ですね 後悔しないウオークインクローゼットの作り方 室内で布団を干す バルコニーを作るコストを考えると、なるほど。と思った次第です。 川口技研 ホスクリーン窓枠付き 毎日の洗濯、干す、片付けるという一連の作業は毎日だからこそストレスなく出来るようにしたいものですね。
家を建てる前に読みたいお話
2025.1.20

外壁に木材を使う 木の家の外観と経年変化の実例

外壁に木材を使うって、どんな感じ? 世の中の家の大半は「窯業系サイディング」と言われる外壁材を使っています。(どんなものかは後で簡単に説明します。) なので外壁に木を使うと言われても、想像が出来ない方も多いかと思います。 弊社の施工例を中心に、経年変化の実例と共に代表的なものをご紹介します。 (各画像下のキャプションは施工例のページにリンクしています。) 焼杉の外観 天竜焼杉と焼杉 焼杉とは文字通り杉を焼いたもので、機械で焼くバーナー焼きと手仕事で焼く三角焼きというものがあります。 焼杉とは焼くことにより表面を炭化させ(炭化層を作る)、「腐朽菌」の繁殖に必要な栄養素などをなくすため外壁に適した材になります。 三角焼の方が炭化層は厚く作られます。 天竜焼杉は手仕事の三角焼で作られたものです O邸 天竜焼杉 アップで見ると下のようなテクスチャーになります モデルハウス 天竜焼杉 焼杉は経年変化により炭の部分が徐々に落ちてゆきいずれは本来の木の地色が出てきますが、天竜焼杉など炭化層の厚いものは条件にもよりますが50年ノーメンテナンスの例もあり、30年持つとはよく言われる言葉です。 下の画像は天竜焼杉のノーメンテナンスの50年後です。 姫路の工務店クオホーム様の天竜焼杉についての記事からお借りしました。 クオホーム 天竜焼杉50年後 一方、下の画像はバーナー焼で作られた塗装焼杉の外壁になります。 T邸 塗装焼杉板 竣工時 塗装焼杉とは意匠性を持たせるために焼杉の表面にブラシをかけ、木目を浮き出させて塗装した板になります。 天竜焼杉と比較すると経年変化が早く、数年すると元々の木の素地が見えてきます。 下の画像は10年後の状態です。 T邸 塗装焼杉板 10年経過 全体に塗装されていた色は薄くなり、木本来の素地が出てきました。 このままでも外壁に求められる性能としては問題ないのですが、再塗装ももちろん出来ます。 T様はこの変化を風合いとしてとらえていらっしゃるので、再塗装の予定はありません。 そういう意味ではやはり長持ちする素材と言えます。 塗装杉羽目板とは 塗装杉羽目板の一番の魅力は、好みの色で仕上げられることにあります。 ただし、やはり生地が木ですから経年変化がありますが、色を維持したい場合はもちろん再塗装は可能です。 木の素地が見えてきても、外壁としての性能には問題はありません。 塗装杉羽目板は塗装済みで販売されている羽目板と、自社で塗装する羽目板があります。 弊社は自社で塗装することが多いのですが、使う自然素材系の塗料はいろいろと種類があります。 自然素材系の塗料の種類としては、 オイル系:木の内部に浸透して表面に塗膜を作らないため、美しい木目の質感が浮かび上がり、しっとりとした仕上がり ワックス系:表面をコーティングして汚れから守る。無塗装のような自然な仕上がり オイルワックス系:両者を兼ねているもの 代表的なメーカーのリンクを貼りました いろは(日本製) オスモ(ドイツ製) リボス(ドイツ製) 弊社では「いろは」を使うことが多いです。 塗装杉羽目板 自然塗料いろはを使用 I邸  アップで見ると下の画像のような、上の板が下の板に乗っかっているような、下見貼りという貼り方になります。 水切れの良い貼り方になります。 下見貼り 下の画像は竣工時と4年後の様子です。 雨風の当たり具合などにより場所によって経年変化の様子も違います。 現在8年が経過し変化も進んでいますが、塗り替えは行っていません。 K邸 竣工時 K邸 4年後 塗装杉羽目板 自然塗料オスモを使用 弊社の施工例では黒っぽいものが多かったので、フルマークハウス様(長崎の工務店)より画像をお借りしました。 ↓  グレーの塗料を使っておられます。 フルマークハウス ウッドロングエコ杉板 O邸 竣工時 1階の白い部分はそとん塗り壁 ウッドロングエコとは、木材を腐らせる「腐朽菌」を繁殖させない、健康・安全で、自然に優しい木材防護剤です。 防腐剤のように環境に悪いものではなく、土に埋土しても、溶け出すことなく、長期に渡って、効果を発揮することから、欧米では、学校や公園などの公共施設でも実績の高い製品です。 手袋もマスクもなしで施工出来るくらい安全なものですから、親子でウッドデッキを塗るなんてことも出来ますね。 O邸 2年後 2年が経過し色が抜けてきました。 O邸 7年後 日の当たる部分、雨のかかる分など場所により変化に違いが出ています。 今後、変化に差はあるもののグレーになっていくと思われます。 ウッドロングエコは通風と水はけがよければメンテナンスフリーな外壁になります。欧米では100年持つと言われていますが、日本ではまだそこまでの実績は正直ありません。 また、色を付けるものではないので塗る材によって色味の仕上がりに差が出ます。 2024年検証:ウッドデッキなど水が溜まることがある場合は腐ることもあります。苔などが生えてきたら削り落とすなどのメンテナンスが必要です。 無塗装杉板 木の板に着色をしない無塗装の外壁です。 全くの無塗装と保護材としてのクリア塗装を施す場合もあります。 多少のスピードの差はあれ同じように経年変化をします。 弊社の施工例はもう少しお待ち頂くとして(工事中)他社様をご紹介します。 宝塚市のシーエッチ建築工房様です。 シーエッチ建築工房 木目調窯業系サイディング 下の画像が木目調のサイディングになります。 遠目ではわかりにくいのですが、近くで見ると違いが分かりますね。 ニチハ株式会社 窯業系サイディングの経年変化の例と、メンテナンススケジュールを日本窯業外装材協会様よりお借りしました 経年変化の例 左:目地の剥離 右:塗膜の劣化 メンテナンススケジュール 木の外壁のメリットは? 本物の木の外壁は、見た目(質感)がいい 前の章で木目調サイディングの画像をご紹介しましたが、遠目はともかく近くで見ると本物の木の外壁とサイディングでは、やはり質感や風合いが全然違います。 それでも新しいうちはまだ良くても、サイディングが経年劣化するのに対し、木は経年変化することで味が出てきます。無垢の床材などと同じですね。 これは他の素材でもいえることで、塗り壁調やレンガ調など「調」が付いているものはあくまで本物に似せたものです。 特に気を付けたいのは、本物の木と木目調の物を組み合わせて使うことはやめた方が良いと思います。 これは内装でも言えることで、どちらかに統一した方がすっきりとすると思います。 本物の木の外壁は、長持ちする素材です 窯業系サイディングなどが15年程度でコーキング(サイディングとサイディングをつないでいるもの)の打ち直しが必要になるのに対し、木の外壁は乾燥状態が保たれればとても長持ちする素材です。 乾燥状態を保つには、当たり前ですが乾燥した材料を使うこと、外壁に直接雨があたりにくいように軒や庇を出すなどが有効です。 長持ちしている木造建築と言えば、有名どころでは法隆寺や正倉院ですね。 乾燥した材の重要性については下の記事をどうぞ なぜ、木は乾燥してなければいけないのか 木の板の外壁は、メンテナンスが簡単です 木の外壁は長持ちはしますが、多少のメンテナンスは必要になります。 例えば部分的に割れたりすることもあるでしょう。 でも、そんな時はその部分だけ張り替えれば大丈夫です。 材料はいつの時代でもある材料ですから無くなることはありません。 最初は色の違いなどが目立ちますが、数年もすれば気にならない程度に馴染むと思います。 工業製品である窯業系サイディングは廃番があります。 そのため部分的に張り直したくても、そもそも同じ物がない可能性もあります。 本物の木の外壁は、バリエーションが多彩です この記事の初め「外壁に木材を使うって、どんな感じ?」でご紹介しましたが、木の外壁は実はバリエーションが豊かです。 同じ杉板を使うにしても 〇 タテ貼りか、ヨコ貼りかによって印象は随分変わります 〇 仕上げを塗装にするのか、焼杉など違う仕上げにするのかなどでも変わります 〇 塗装にする場合は着色する色によっても変わります 本物の木の外壁は、環境に優しい素材です 木は天然の木材で持続可能な材料になります。 特に近隣の国産の木を使った杉板の外壁は輸送にかかるエネルギーも少なく、よりエコな素材と言えます。 また、木は成長過程で多くのCO2を吸収するので、脱炭素社会に貢献できる環境にやさしい素材と言えます。 木の板の外壁のデメリットは? 場合によっては変形リスクがあります 他の材料と同じく、木も条件によっては変形(割れたり反ったり)するリスクがあります。 ただし、仮にそういったことが起こったとしても、メリットに書いたように部分的な取り換えは容易に行えます。 場合によっては腐ることがあります 常に濡れた状態にあると腐ることもあります。 木の外壁を採用するならば、軒をしっかりと出して雨がかかりにくくする、水切れの良い施工にするなどが必要です。 経年変化を劣化と捉える人もいる メリットのところで書きましたが、木は経年変化することで味が出てきます。 ですが、これを人によっては劣化と捉えます。 性能的には問題がなくても、見た目を劣化と捉えるならば、これはデメリットとなるでしょう。 初期費用が高いと感じるかもしれない 外壁にかかるコストとして他の物と比べた場合、決して木は高い物ではありません。 例えば弊社で比べても、そとん塗り壁の方が高くなります。 ただ、グレードの低い窯業系サイディングと比べると初期費用は高くなります。 でもこれも長い目で見ると、グレードの低い窯業系サイディングは早い段階で塗り替えやコーキングの打ち直しが必要となるので、結局のところは木の外壁は高いことにはなりません。 木の外壁と相性が良い素材 外壁を木だけで仕上げるのも良い物ですが、他の素材と組み合わせるとまた違った印象になります。 組み合わせる素材はやはり本物の素材が相性が良いと思います。 木の外壁と塗り壁 H邸 塗装杉板とそとん壁 上は塗装杉羽目板と塗り壁の組み合わせです。 S邸 天竜焼杉とそとん壁 こちらは天竜焼杉と塗り壁の組み合わせで、どちらも「そとん壁」という火山灰由来の材料で出来ている塗り壁になります。 木の外壁とガルバリウム K邸 ガルバリウムと塗装杉板 こちらの画像はガルバリウムの外壁に玄関周りにだけ木を使っています。 どちらかというとガルバリウムの外壁の場合はポイントで塗装杉羽目板を使うと相性が良いようです。 日本で一番使われているサイディングについて少し 実は日本の新築のほとんどは安価な窯業系サイディングを使っていると思われます サイディングは確かに初期の建築コストは安く抑えられても、実は後々にメンテナンス費用が定期的に必要になります。 ここは大事なところで、ほとんどの窯業系サイディングは継ぎ目処理に使うシーリングの耐久性が低く、10年~15年以内に打ち直しが必要です。 2階部分もサイディングで仕上げているでしょうから、足場代だけでも馬鹿になりません。 ただ、最近のサイディングはシーリングレスやシーリング自体が高耐久なものが出ています もし、あなたの家の外壁仕様がサイディングなら担当者にその辺のことよーく聞いてください。 ここはケチっては絶対いけないところです。 こちらが大手サイデイングメーカーの高性能商品です。 ニチハの商品はこちら アサヒトステムはこちら 外壁に木材を使う まとめ 木の外壁はいかがだったでしょうか? 経年変化の様子が人によって好き嫌いの分かれるところだと思います。 それでも本物の素材は何年たっても本物の質感を持っていますし、何よりメンテナンスにかかるコストが少なくて済むので、是非これから家を建てる若い方におススメしたいと思います。 木の外壁は初期費用だけで比べると、安価な低耐久窯業系サイディングに比べると高いことは事実です ですが、高耐久のサイディングと比較すれば変わりはありませんし、後々のメンテナンス費用を考えるとむしろ安いくらいです。 家を建てるということは生涯コスト(メンテナンス)がかかる、ということです 建てる家によっては生涯で1000万以上のコストの差がつくのです そんな生涯コストについて詳しく知りたい方はこちらを是非どうぞ 家を建てる前に読んで欲しい小冊子差し上げます 本物の木というだけで内装材にしろ、今回のような外装材にしろ「高そう」と思われる方がホントに多くて残念です。 工事店によって価格の多少の違いはあるでしょうが、あなたの家づくりの外壁材の検討材料に木の外壁も是非加えてみてくださいね。 外壁と合わせて玄関ドアも悩ましいところ。 断熱効果の高い玄関ドアを選ぶ 内装床にはぜひ無垢床材をおススメします! 無垢床材をおススメする訳
家を建てる前に読みたいお話
2020.02.13

ベタ基礎だからと安心できない 布基礎との比較 【動画あり】

基礎工事の重要性を認識しよう 出来上がってしまったら見えない基礎工事 そもそも基礎工事は何の為にするか? 『基礎』を辞書で調べると、 その上に建物を建てたり大きな装置を設置したりするために据える土台。いしずえ。 建造物や構造物の自重による荷重や、地震や風によって加わる水平方向の荷重を最下部で支持し地盤に伝える部分。物事の根幹となる物。基本。 というように書かれている通り、いくら建物を頑丈に作っても、基礎がいい加減なものではその強度を保てません。しっかりした基礎無しでは大事な生命財産を守れません。 ベタ基礎と布基礎の違いは何? 上の写真、実はベタ基礎と布基礎です。 どっちがどっちかわかりますか?わかりませんね。 正解は上がベタ基礎で、下が布基礎です。 このように出来上がってしまうとなかなか分かりにくいものですし、仕様の違いも見えませんね。 写真を使ってそれぞれの違いと特徴を説明したいと思います。 ベタ基礎とは 上の写真のように建物の部分全面を鉄筋コンクリートの底板(ベース)で支えるものです。 住宅の重みを面で受け止めるため、荷重を分散しやすく耐震性が高くなります。 布基礎とは 布基礎は上の写真のように建物を支えるのは立ち上がっている部分のみになります。鉄筋もこの部分にのみしか入りません。点で支える構造になります。 このあと立上り部分以外の地面に防水シートを敷き、その上からコンクリートを打設します。 出来上がると最初にお見せしたような、ベタ基礎と変わらない見た目になります。 ベタ基礎に比べ一番のメリットはコストです。 使用する鉄筋などが少ないため、コスト安につながります。 ベタ基礎に比べて布基礎はまるでダメなのか? ではベタ基礎に比べ布基礎はまるでダメかというと、そうも言いきれません。 確かに耐震性はベタ基礎のほうが有利ですが、そもそも耐震性は基礎だけで決まるわけではなく、地盤と基礎と構造の3つの要素で決まるのです。 もともとの地盤が強固であれば何ら布基礎でも問題はありません。(いろいろ注意点がありますがここでは割愛します) ベタ基礎ならばそれで安心? 実はセールストークで「うちはベタ基礎だから安心ですよ!!」という建築会社が割とあります。 もちろん間違いばかりではありませんが、怪しいのが混じっているのも本当です。 地盤調査で得た地耐力 建設省告示第1347号 第1項 地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度が ・20KN/㎡未満  基礎ぐいを用いた構造 ・20KN/㎡以上30KN/㎡未満  基礎ぐいを用いた構造またはベタ基礎 ・30KN/㎡以上  基礎ぐいを用いた構造、ベタ基礎又は布基礎 難しい日本語ですね?!! 地耐力。これは地盤が重みに耐えられる強さや地盤沈下に対してどの程度の抵抗力があるかを示す指標です。数値が大きいほど強い地盤になります。(基礎ぐいは高層マンションなどの施工なので今回関係ないので無視してください) ベタ基礎の規定 建設省告示第1347号 第3項抜粋 立上り部分の厚さ 12cm以上 主筋径12mm以上の異形鉄筋を上端と下部の底板に配置し補強筋と緊結 立上りの補強筋は径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置 底板部分の厚さ  12cm以上 底板の補強筋 径9mm以上の鉄筋を縦横に30cm以下に配置 シュミレーション 仮にある土地の地盤調査をして25KN/㎡という地耐力が出た場合、ベタ基礎ならばOKということになり、ベタ基礎の規定にある仕様ならば大丈夫です、という解釈になります。 ですが、基礎の仕様を※許容応力度計算ではじき出すと、全くそのような仕様ではダメということがあるのです。 ※許容応力度計算・・・構造計算の1種です。より簡単な壁量計算という方法もあります。 以下の画像は許容応力度計算をもとに作られた「基礎伏せ図」と「断面図」になります。 断面図からお分かりいただけるでしょうか? 先ほどの国の定めるベタ基礎の規定と照らし合わせると、 立上り部分の厚さ 規定では12cm以上 → 計算からは15cm必要 規定では主筋径12mm以上の異形鉄筋を上端と下部の底板に配置し補強筋と緊結 → 計算からは径13mmの異形鉄筋(D13)が必要 規定では立上りの補強筋は径9mm以上の鉄筋を30cm以下の間隔で縦に配置 → 径10mmの異形鉄筋(D10)を20cmの間隔で縦に配置(@200)が必要 底板部分の厚さ  規定では12cm以上 → 計算からは15cm必要 底板の補強筋 規定では径9mm以上の鉄筋を縦横に30cm以下に配置 → 計算からは径13mmの異形鉄筋を縦横に20cm間隔に配置が必要 規定の仕様と同じなのは立上り上下の主筋だけです。 ですが、全く法律違反でも何でもありません。 法律で必要ないとされている構造計算 どうしてこんなことが起こるのでしょうか? 実は、基礎の仕様に関して、許容応力度計算により決めなさいという決まりはありません。耐震等級2や耐震等級3の建物でも上部構造は計算しなければ認められませんが、基礎の許容応力度計算は不要です。 そもそもベタ基礎のメリットとして耐震性能が高くなるとお伝えしました。 しかし、耐震性能等級3(最高値)をとるためにですら「許容応力度計算」は義務付けられていません。より簡単な※壁量計算でもOKです。 ※壁量計算・・・壁の量が基準を満たせば良く、位置や強度の指定はありません。対して許容応力度計算は建物を作る部材がどのくらい強いのか、どれくらいの力に耐えられるのか(許容応力)を計算します。 ここに落とし穴があります。 ベタ基礎だから耐震性能が高いのではありません。 しっかりとした構造計算(許容応力度計算)に基づくベタ基礎だから耐震性能が高くなるのです。 一番最初の部分で弊社でもベタ基礎を標準としている、とお伝えしました。 これは命や財産をちゃんと守れる耐震等級3をとるために許容応力度計算に基づくベタ基礎を標準としている、という意味なのです。 シュミレーション動画を用意しました。等級3の補強した設計が許容応力度計算に基づく設計です。 それでもシュミレーションで弱い部分が判明したので、さらに修正を重ねました。 ぜひ、あなたが建築を依頼しようとしている会社に「何の計算に基づくベタ基礎ですか?」と聞いてみてください。 施主でもできる基礎工事のチェックポイント 1・基礎の仕様はどうやって決めているか確認   構造計算(許容応力度計算)による仕様         ↓        OK   ベタ基礎スラブ配筋スパン表による仕様         ↓        OK   全建総連べた基礎スラブ配筋スパン表による仕様         ↓        OK   建築会社の告知のみによる仕様         ↓       NG 2・配筋チェック・・・瑕疵保険の検査で検査員が図面と照合してくれる場合はお任せでも大丈夫でしょう 3・アンカーボルトの位置・・・型枠の真ん中にまっすぐ入っているか 4・養生期間が十分とれているか・・・目安で夏で3日。冬で5日。 基礎工事は素人にはわからないものですが、基本の基本だけ頭に入れて、是非現場に足を運んで下さい。施主様が来ると職人さんはうれしいものですし、より丁寧な施工もしてもらえそうな気がする?ような。 土地からお探しの方にはこちらの記事もどうぞ ハザードマップを確認しないと大変なことになる。 地盤調査や改良ってどんな方法がある? 地震に強い家を建てたい!