滋賀の工務店が国産無垢の床材をまじめに推すブログ
住宅の床材についての基本の知識はまずこちらから そもそも論ですが、皆さんは無垢の床材を正しく理解…
ウッドショックって言葉をご存知ですか?
まだ家造りを考えた事の無い方には、無関係ですから知ってる人も少ないのかなって思っていましたが、かなりの一大事である事がわかったようで、ニュースにも取り上げられ、家造りとは無縁の方から
「木が無いんやろ?大丈夫?」
なんてお声がけも頂くようになりました。
2021年8月。東京オリンピック真っ最中ではありますが、業界的にはかなり危機的状況になっております。
ウッドショックについて様々な見方、切り口、立場から解決策や対策や問題点が指摘されていますが、実はそんなに難しい問題ではないのですよという事をここで説明させて頂きたいと思っております。
このブログを読んでる、もしくは興味を持って検索された方は恐らくご存知だからここに来られたのではないでしょうか。私よりもっと上手に説明されている方もいますので、ここは簡単に。
アメリカや中国の好景気で、輸入に頼っていた構造材(米松、ホワイトウッドなど)がそちらに流れ、それを更に買い戻す為に価格が高騰。またそれらのため輸送用のコンテナが日本の港から無くなり、物が入って来ないから建てられないという状況になりました。
それは困ると慌てて国産材を買い占める動きがおこり、国産材も高騰するという悪循環。
ハウスメーカーだけでなく、工務店、材料を売る建材屋さん、そこに勤める職人達。とにかく住宅産業にとって、過去に無い危機的な状況になっております。
アメリカの住宅が好景気になった要因はコロナでローン金利を下げる政策をとったからで、今はそれも終わり、着工棟数は減少してきておりますが中国はまだまだ好景気です。
ある程度落ち着きを取り戻していますので、そのうち日本にも木材は入ってきますが、そんなすぐに在庫は回復しませんし、以前のような価格に戻るかどうかもわかりません。
何故か?
日本には安ければ安いほど良い的な発想がありますよね。
同じ物ならどこよりもより安く買うのが賢い。
買い叩く事が美学的な感じすらします
その精神は商社に受け継がれており、大量消費する日本、金持ち日本という切り札を背に、お金は安く質は厳しくの商売をしてきておりました。
それが今回のウッドショックで、日本の底が見えてしまったんですね
バブルの頃(1980年代後半)は年間着工棟数が160万戸もあったのが、今や80万戸と半減。
ちなみに2020年度はコロナもあって73万戸まで減少しました。
野村証券が予想した2030年、2040年の着工棟数は、63万戸、41万戸と更に半減していきます。
この状況を知った生産国が、日本以外に目を向けるのは当然ですよね。
大量消費してくれるという唯一のうまみがなくなる日本に、高品質で安値の商品を売るぐらいなら、品質悪くても高値で大量に買ってくれる中国の方が良いと思うのは至極当然かと思われます。
様々な情報を得た上で、あくまで私の予想ではあるのですが、まずこの原木が無いという状況は間もなく終わると思います。様々な憶測が飛んでいますが、年内から年度末には解消されるでしょう。
しかし、価格が戻るかと言うと、ここは? ですね。
戻るかもしれませんが、あまり楽観視していてはいけないでしょうね。
つまり、少し待てば元に戻るという考えで今後動くのは大変危険と言う事です。
先も述べましたが、供給は戻ると思います。
業界の方々に伺うと、かなりの高値で商社も買っているそうです。
原木が入らないという事は、家を建てられないという事。
そこに係わる全ての仕事が止まり、全ての材料が使われなくなる訳ですから、技術を売るのではなく”物を売る”企業にとっては、とんでもない打撃になるんですね
なので、高値でも商社は買うのです。実際の所、商社にとって原木価格が安値であろうが高値であろうがあまり関係は無いと思われます。どこかだけ、またどこかの工務店だけ無いのではなく、日本全てで木材が無い状態なのですから
高値でも何でも買わなければ住宅は建ちません。
困るのは工務店でしょ? なら高くても買わなきゃ仕方ないよね
って感じでしょうか
そんな単純な事ではないですが、今後供給が復旧したとしても高値である事はほぼ間違いありません。
数年先まで予測は出来ませんが、先のデータを見る限り、海外の木材会社からすれば魅力的でない日本の住宅産業に今までのような価格で販売する必要は無いのですから、数年先になれば価格が戻るとも想定しにくいのです。
2年もしくは3年待って、もちろん安くなる可能性はあると思いますが、ここでちょっと現実的に考えて見ましょう
アパートにお住まいとして、このあたりの平均的な家賃として、7万と共益費+駐車場代1万の合計8万の家にお住まいだとして計算します。
2年間の家賃が24×8万で192万円となりますね。
いま色んな所から聞く一般的な住宅(弊社は違いますよ)で
ウッドショックで上がった価格は100万とか150万
とか言われています。
これで、元の価格に戻る保証もないのに2年待つぐらいなら、今建ててしまう方がお得な事はこれでお分かりいただけるんではないですか?
これはガソリン(石油)などと同じで、
日本は森林大国日本でありながら木材も海外に依存しているという事実
が今回浮彫になりました。
政治的な問題でも起こって輸入が止まれば、日本は家が建てられなくなるんですね。
ついでにガソリンが買えなくなると、仕事も出来なくなります。
資源を持たない小さな島国に1億もの人が暮らす国の致命的な欠点ですね。
依存体質である限り、国力が無い状況では、好転は望めませんし、景気に左右される不安定な状況になります。
また、これだけの量の木材を輸入する事で、どれだけ輸送時に油(エネルギー)を使い環境汚染をしているかも大きな問題と言えます
2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は2016年から2030年までの15年間で達成する目標であり、cop21でのパリ協定では、2030年までに温室効果ガスを26%削減すると日本は目標を立てました。
菅政権誕生時での所信表明演説では脱炭素社会の実現を目指すべく、
2050年までにカーボンニュートラルを達成する
と目標を掲げました(政府の言葉なのであまり信用はしてませんが)
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素など温室効果ガスを完全に無くす事は出来ませんから、その排出量を出来るだけ抑えたうえで、森に生え育つ木々が吸収する量で差し引きゼロにする事です。
今のような輸入材に頼っていて、これが達成できるとは到底思えないのです。
そう考えると、日本の木で建てる家造りがこの問題に大きな役割を担うのではないかと思えるわけです。
日本の山の木を伐ったら、二酸化炭素を吸収しなくなるから余計だめじゃないのか?
という疑問があろうかと思います。
仰る通りですね。伐れば二酸化炭素を吸ってくれる木が無くなってしまう訳ですから。
ここで木について少し勘違いというか間違った認識をされているといけませんので、木の特性について説明します。下の図を見て下さい
針葉樹の代表でもあり、戦後の森林政策により、大量に植えられている杉・桧は樹齢50年頃までは二酸化炭素を吸って成長し、それを固定し続けてくれるのですが、それ以降は成長を止め二酸化炭素の吸収をほぼしなくなります。
戦後の森林政策と言いましたが、その頃から60年以上過ぎており、今あなたの目に見える山々はすでに成長を終え、
二酸化炭素の吸収をせず、伐期を迎えているのです。
しかしながら、昭和30年頃まで木材自給率が94.5%だった日本は現在32.4%まで下がっており、この木を使える土台が無くなってしまっているのです。
長く安価な輸入材に頼ってきた為、国産材は高くて売れず、どんどん衰退していき、現在に至っているのです。
かなり難しい話を書きましたが、結論から言いますと、全てを解決するのはウッドショックなのです。
どういう事かと言いますとそろそろ日本人は、
”今だけ、金だけ、自分だけ”からの脱却
をしなければならないのだと思います。
この言葉は東京大学の鈴木宜弘教授が「食の戦争」という著書で述べられた考えです
これを住宅産業にあてはめると
今だけよければ、未来の環境の事はどうでも良い
金を儲ける為なら、どんな手段でもOK
他人はどうでも良いんだ、自分さえ良ければ
この考えがこの業界で続く限り、先に述べたカーボンニュートラルなど実現する訳がありません
これは、私共工務店やハウスメーカーなど家を建てる側の問題が多分にあるのですが、そこに関連する企業の問題でもあり、批判を恐れず書かせて頂くとすると、お客様の問題でもあるのです。
30年持ってくれれば、あとは解体してまた新築すれば良いんじゃない
安ければ輸入材でも何でも良いや
あそこの工務店とハウスメーカーを競わせて少しでも安くしよう
性能良いからって言っても高くちゃね~ 死んでからなんて関係無いし
どうですか?
もしかしたら、心のどこかにそんな思いがちらっとでもよぎった方がいるかも・・・
もちろん根本は、そんな家を造り、そんな家しか売らない、もしくはそんな家が良いと思わせるように販売・提案する我々の業界の問題です。
我々も、今回のウッドショックを期にまさに生まれ変わるチャンスが来ているのだと思います。
この先安価になりそうもない輸入材を頼る事が出来なくなります。今までの価格が異常だったんです。
そして決してぼったくるためではなく、正しい価格で販売と購入をするのです。
そうすると、大量の油を使って輸送し二酸化炭素をまき散らし環境破壊をする事もなく、山の雇用も守れ、逆に環境を良くする事が出来るのです。
国産の木で造れば、パンデミックが起ころうとも、貿易摩擦など政治的な問題が起ころうとも、ウッドショックなどという外的要因から影響受ける事も無くなるのです。
確かに少し家造りは高価になるかもしれませんが、一人一人がそういう思いで家造りをしてくれれば、
未来の子供達、あなたの子供や孫の未来までを守れる
事にもなります。
自分の暮らしを守る家造りが、他人を苦しめる、未来を汚すよりも、明るい未来を作る一助になる方が良いと思いませんか?
コロナで変わった新生活をニューノーマルなんて言いますが、ウッドショックを期に住宅業界もニューノーマルな形を作り上げ、よりよい国に地域に環境に世界になっていけばと感じています
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後悔しない家づくりに役立つ小冊子を差し上げます。
住宅会社選びに悩まれているならヒントが詰まった内容です。
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家づくりにはたくさんの落とし穴があります。
建てる時には教えてくれないこともあります。
誰だって出来るだけ安く家を建てたい
それは当たり前のこと
でも、建てる時の費用を安くするための選択が
光熱費のやたらかかる、寒くて暑い家になってしまったら?
10年後、20年後に何百万とコストのかかる家になっていたら?
残念ながらそういったことが実際にあるのです
建てる前に知ってたら、こうしていたのに!
という事も少なくありません。
そんな悔しい思いをする人を一人でも減らしたくて
「家を建ててからかかるお金の話知っていますか」
という小冊子を作りました。
これを読んだうえで、
納得の家づくりをして頂きたいと、心から願っています。
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