2025.10.10

外壁に木材を使う 木の家の外観と経年変化の実例

 

家の外観を印象づける「外壁」。世の中には様々な種類の外壁材が存在します。

 

その中でも、木の外壁は自然素材ならではの本物の質感と経年変化の美しさが魅力です。

 

一方で、「メンテナンスが大変そう」「すぐ傷むのでは?」「価格が高そう」という不安もよく聞かれます。

 

この記事では、木の外壁の種類・コスト・耐久性・メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

木の外壁とは?

木の外壁
S邸 1階天竜焼杉/2階そとん塗り壁

文字通り自然素材である本物の木の板を外壁材として使用したものです。樹種や仕上げ方法、貼り方によって見た目の印象が変わります。上の画像の黒い部分は天竜焼杉という杉材の外壁材になります。

ニチハ  マイスターウッド調V

上の画像は木の外壁によく似せたもので「木目調サイデイング」といわれます。石調やレンガ調など様々なデザインがあります。サイディングはセメントなどを主な材料としたもので、見た目は似せていますが質感などは似て非なるものです。

木の外壁は自然素材を使いたい方や、質感を重視される方に好まれる外壁材といえます。

木の外壁の種類と特徴、経年変化の様子

樹種や仕上げ方法、貼り方によって見た目の印象が変わる木の外壁ですが、ここでは代表的な物や、経年変化の様子を紹介します。

杉板1 焼杉

O邸 天竜焼杉

杉板は日本で古来から使われている外壁材です。

その中でも焼杉板というのは文字通り杉を焼いたもので、焼くことにより表面を炭化させ(炭化層を作る)、「腐朽菌」(木を腐らせる菌)の繁殖に必要な栄養素などをなくすため外壁に適した材になります。

焼杉板には手仕事で焼く三角焼きと、機械で焼くバーナー焼きというものがあります。手仕事で焼く三角焼の方が炭化層は厚く作られます。天竜焼杉は手仕事の三角焼で作られたものです。

アップで見ると下のようなテクスチャーになります。

モデルハウス 天竜焼杉

焼杉は経年により炭の部分が徐々に落ちてゆきいずれは本来の木の地色が出てきますが、天竜焼杉など炭化層の厚いものは条件にもよりますが50年ノーメンテナンスの例もあり、30年持つとはよく言われる言葉です。

下の画像は天竜焼杉のノーメンテナンスの50年後です。姫路の工務店クオホーム様の天竜焼杉についての記事からお借りしました。

天竜焼杉50年後
クオホーム 天竜焼杉50年後

一方、下の画像はバーナー焼で作られた塗装焼杉の外壁になります。

T邸 塗装焼杉板 竣工時

塗装焼杉とは意匠性を持たせるために焼杉の表面にブラシをかけ、木目を浮き出させて塗装した板になります。

天竜焼杉と比較すると経年変化が早く、数年すると元々の木の素地が見えてきます。

下の画像は10年後の状態です。

T邸 塗装焼杉板 10年経過

全体に塗装されていた色は薄くなり、木本来の素地が出てきました。

このままでも外壁に求められる性能としては問題ないのですが、色の再現のための再塗装ももちろん出来ます。

T様はこの変化を味わいとしてとらえていらっしゃるので、再塗装の予定はありません。

そういう意味ではやはり長持ちする素材と言えます。

杉板2 塗装杉羽目板

フルマークハウス オスモ使用

塗装杉板とは文字通り杉板に色を付けたものになります。上の画像はオスモカラーという塗料を使った杉板を横貼りにしたものです。長崎の工務店フルマークハウス様からお借りしました。

塗装剤を大きく分けると、自然素材系塗料と化学合成系塗料に分けられます。

木の外壁に使う塗料としては自然素材系を使います。化学合成系では木の質感が出なかったり、何より木本来が持つ呼吸する特徴が生かされません。

化学合成系塗料はサイディングに多用されています。

その自然素材系塗料/商品名もいくつかに分類できます。

● 植物オイルベース / オスモいろは(色が選べる)

● 鉱物、無機質 / ウッドロングエコ

● 柿渋 / 柿渋コートG(色が選べる)

木の外壁によく使われているのが植物オイルベースの物で、有名なものではオスモやリボス(共にドイツ製)があります。マルトでは日本製の「いろは」を使用することが多いです。

塗装杉羽目板の一番の魅力は好みの色で仕上げられることですが、やはり素地が木ですから経年変化があります。ただ、木の素地が見えてきても外壁としての性能には問題はありません。

色を維持したい場合はもちろん再塗装は可能です。

K邸 いろは使用 竣工時
K邸 いろは使用 4年後

色が選べる製品ではありませんが、木材保護材としてウッドロングエコを使うこともあります。

ヒノキ床の小上がりには借景を楽しむ窓
O邸 ウッドロングエコ使用 竣工時
O邸 ウッドロングエコ使用2年後
O邸 ウッドロングエコ使用 7年後

上の画像はそれぞれ竣工時と数年後の様子です。やはり木の素地が見えてきました。雨風の当たり具合などにより場所によって経年変化の様子も違います。

現在も経年変化が進んでいますが、塗り替えは行っていません。

杉板3 無塗装羽目板

木の板に着色をしない外壁です。

全くの無塗装と保護材としてのクリア塗装を施す場合もありますが、スピードの差はあれ同じように経年変化をします。

杉の無塗装外壁
M邸 無塗装杉板 竣工時

経年変化の様子は広島の設計事務所、レフトハンズ様よりお借りしました。

木本来の素地が出て、全体にシルバーになっています。

レフトハンズ 無塗装杉板 6年後

下のリンクはマルトの施工事例のページです。外観の参考にして下さい。

木の外壁にかかるコストの目安

木の外壁と聞いて多くの方が思うのが「高そう・・・」という印象です。

何と比べて高いのか?など、そもそも基準があいまいなままで比べるのが難しいのですが、ここでは大まかに(乱暴に)コストについてお伝えします。

高い 天竜焼杉 > 塗装杉板 > ウッドロングエコ > 焼杉板 > 無塗装 安い

他の素材と比べると、例えば今一番日本で使われている外壁材サイディングと比べると、天竜焼杉よりも高いサイディングがありますし、無塗装杉板よりも安いサイディングも存在します。

また、マルトでもよく使うそとん壁(塗り壁)などは天竜焼杉よりも高価ですし、ガルバリウムなどは焼杉板や塗装杉板と同等程度です。

家を建てる際に全体を通して言えることなんですが、自然素材=高価、建材=安価という思い込みは捨てましょう。

また、建てる時にかかるお金(イニシャルコスト)だけでなく、住んでからメンテナンスでかかるお金(ランニングコスト)の比較も忘れずにしましょう。

木の外壁の耐久性とメンテナンス

木の外壁の耐久性は50年(100年でもいい)以上です。奈良時代に建てられた正倉院などが代表格ですね。

でも、木は日光・雨・湿気の影響を受けやすい素材でもあります。

それらによる退色自体は外壁としての性能には影響はありませんが、雨や湿気は適切な設計や施工がされることで、耐久性を高めることが出来ます。

メンテナンスに関しては基本はノーメンテナンスです。

ただ、色を付けた場合は退色が気になるようであれば再塗装の必要があります。

木の外壁のメリットとデメリット

メリット

自然素材である木が持つ本物の質感

ほぼノーメンテナンスな高耐久性(ランニングコストが安い)

経年変化により増す味わい(好みによる)

再生可能な素材で環境に優しい

デメリット

好みの色に塗装しても数年後には退色する(再塗装は可能)

雨や湿気に対する適切な設計や施工がされていないと腐ることがある

正しい目を持たないと、初期コストが高いと感じる

どこの建築会社でも扱っているわけではない

木の外壁を採用したい時のポイント

施工実績のある会社に依頼した方が安心です。実績がないと施工も不安ですし、コストも高くなりがちです。

乾燥した木でないと後々激しく反ってきたりします。そういった意味でも実績のある会社がおススメです。

カタログやサンプルだけでなく出来るだけ実物を見て決めましょう。

また、経年変化の様子も実際の状態で確認されることをおススメします。

まとめ

木の外壁は本物の素材がお好きで、経年の変化を味わいと捉えられる方にはとても向いている素材です。塗り壁との相性も良く、落ち着いた外観を作れます。

価格も国産の杉を使えば特別高価になるものではないはずですし、何よりほぼノーメンテナンスで50年過ごせるのでコスト面でも優秀です。

家を建てる際の外壁材の選択肢として、とてもおススメできる素材です。


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