2020.02.19 更新日:2024.10.30

外壁に木材を使う、外壁材に使う木の種類

リビングにベンチ収納を造った焼杉の家

 

家の外観(外壁材)は家の印象を左右するとても大切な部分です。

 

美しい風情ある町並みは、一つ一つ違う家の外観が集まって出来るもので、そういう意味でも外観は大切ですね

 

また、見た目だけではなく耐久性にも気を付けたいところです。

設備(WCやキッチンなど)の入れ替えでもそれなりの金額はしますが、外壁となると普通は設備どころの金額ではすみません。

 

選ぶ外壁の耐久性やメンテナンスのコストによって、建ててからかかるお金は随分と変わってきます。

 

この記事では木の外壁のメリット、デメリットも含めてご紹介していきます。

 

外壁材選びに迷っておられる方は是非参考にしてみてください。

 

上の画像は塗装焼き板を使った家になります。  施工例はこちら 

外壁に木材を使うって、どんな感じ?

世の中の家の大半は「窯業系サイディング」と言われる外壁材を使っています。(後で詳しく説明します。)

なので外壁に木を使うと言われても、想像が出来ない方も多いかと思います。

弊社の施工例から代表的なものをご紹介します。(各画像は施工例のページにリンクしています。)

最後のところに木目調のサイディングの施工例も載せておきます。

天竜焼杉の外壁
O邸 天竜焼杉

アップで見ると下のようなテクスチャーになります

モデルハウス

I邸 塗装杉羽目板(自然塗料いろは)

アップで見ると下の画像のような、上の板が下の板に乗っかっているような、下見貼りという貼り方になります。

S邸 ウッドロングエコ杉板

ウッドロングエコとは木材保護材(自然素材によるもの)を杉板に塗布した(あるいは漬け込んだ)杉板になります。

弊社の施工例では黒っぽいものが多かったので、フルマークハウス様(長崎の工務店)より画像をお借りしました。 ↓  グレーの塗料を使っておられます。

フルマークハウス 塗装杉板(自然塗料オスモ)

下の画像は木目調のサイディングになります。

遠目ではわかりにくいのですが、近くで見ると違いが分かりますね。

ニチハ株式会社
ニチハ株式会社

木の外壁のイメージが伝わったでしょうか?

木の板の外壁のメリットは?

木の板の外壁は、質感がいい

木に似せた外壁材(ウッド調サイディング)は多々ありますが、実物を見ると質感や風合いは全然別物です。やはり、本物は質感がいい。

また、サイディングが経年劣化するのに対し、木は経年変化することで味が出てきます。無垢の床材などと同じですね。

木の板の外壁は、長持ちする素材です

サイディングなどが15年程度でコーキング(サイディングとサイディングをつないでいるもの)の打ち直しが必要になるのに対し、木の外壁は乾燥状態が保たれればとても長持ちする素材です。

乾燥状態を保つには、当たり前ですが乾燥した材料を使うこと、外壁に直接雨があたりにくいように軒や庇を出すなどが有効です。

長持ちしている木造建築と言えば、有名どころでは法隆寺や正倉院ですね。

乾燥した材の重要性については下の記事をどうぞ

木の板の外壁は、メンテナンスが簡単です

木の外壁は長持ちすることからメンテナンスフリーと呼びたくなりますが、部分的に割れたりすることもあるでしょう。

そんな時はその部分だけ張り替えれば大丈夫です。

最初は色の違いなどが目立ちますが、数年もすれば気にならない程度に馴染むと思います。

工業製品であるサイディングは廃番があります。そのため部分的に張り直したくても、そもそも同じ物がない可能性もあります。

木の板の外壁は、環境にやさしい素材です

木は天然の木材で持続可能な材料になります。

特に国産の木を使った杉板の外壁は輸入に比べ輸送にかかるエネルギーも少なく、よりエコな素材と言えます。

また、木は成長過程で多くのCO2を吸収するので、脱炭素社会に貢献できる環境にやさしい素材と言えます。

木の板の外壁のデメリットは?

経年変化を経年劣化と捉えるか?で変わります

メリットのところで書きましたが、木は経年変化することで味が出てきます。

ですが、これを人によっては劣化と捉えます。

性能的には問題がなくても、見た目を劣化と捉えるならば、これはデメリットとなるでしょう。

環境によっては劣化する

木は自然素材であるがゆえに、条件によっては割れたり反ったりします。

ただし、仮にそういったことが起こったとしても、メリットに書いたように部分的な取り換えは容易に行えます。

また、常に濡れた状態にあると腐ったりすることもあります。

木の外壁を採用するならば、軒をしっかりと出して雨がかかりにくくするや、水切れの良い施工にするなどが必要です。

次は木の外壁について、それぞれ経年変化と共に紹介します

外壁に木材を使う:ウッドロングエコ(木材防護材塗装)仕上げ

S邸 ウッドロングエコ

ウッドロングエコとは、木材を腐らせる「腐朽菌」を繁殖させない、健康・安全で、自然に優しい木材防護剤です。

防腐剤のように環境に悪いものではなく、土に埋土しても、溶け出すことなく、長期に渡って、効果を発揮することから、欧米では、学校や公園などの公共施設でも実績の高い製品です。

手袋もマスクもなしで施工出来るくらい安全なものですから、親子でウッドデッキを塗るなんてことも出来ますね。

通風と水はけがよければメンテナンスフリーな外壁になります。欧米では100年持つと言われていますが、日本ではまだそこまでの実績は正直ありません。

また、色を付けるものではないので塗る材によって色味の仕上がりに差が出ます。

2024年検証:ウッドデッキなど水が溜まることがある場合は腐ることもあります。苔などが生えてきたら削り落とすなどのメンテナンスが必要です。

経年変化の例

ヒノキ床の小上がりには借景を楽しむ窓

上の写真は竣工時です。

下は2年経過しました。色が抜けて落ち着きが出てきました。

7年経過しました。(点検中で梯子がかかっています)

向いている方向によって経年変化にも差が出ています。

外壁に木材を使う:焼杉板仕上げ

O邸 天竜焼杉

焼杉とは文字通り杉を焼いたもので、バーナー焼きと三角焼きというものがあります。

文字通り焼くことにより表面を炭化させ(炭化層)、「腐朽菌」の繁殖に必要な栄養素などをなくすため外壁に適した材になります。

バーナー焼とは機械で焼くもので、三角焼は手仕事で焼きます。

天竜焼杉様よりお借りしました

上の画像が三角焼の様子です

バーナー焼きよりも三角焼のほうが炭化層が厚く仕上がります。

焼杉のメリットはやはり炭化層にあるので、そういう意味では三角焼のほうが優れていると言えます。ただし見ての通り手間はかかりますね。

経年変化の例

焼杉は経年変化により炭の部分が徐々に落ちてゆき、いずれは本来の木の地色が出てきますが、条件にもよりますが50年ノーメンテナンスの例もあり、30年持つとはよく言われる言葉です。

三角焼と比べ、バーナー焼は割と早く木の地色が出てきます。

下の画像はこの記事のTOPでご紹介した家(バーナー焼の塗装杉板)の10年後になります。

木の地色が出た部分は適した塗装でメンテナンス出来ます。また、面積が大きい場合は貼り替えも比較的簡単にできるので、やはり長持ちする外壁材と言えると思います。

ただ、上の画像の家などは色こそ落ちましたが性能的には問題は生じていませんし、むしろ落ち着いた風情になったと思います。

また、焼杉とは簡単に言えば表面が「炭」ですから触れば黒い色が手につきます。ここも採用するかは判断の分かれるところですね。

外壁に木材を使う:塗装杉羽目板

K邸 塗装杉羽目板
I邸 塗装杉羽目板

塗装羽目板の一番の魅力は、好みの色で仕上げられることにあります。

ただし、やはり生地が木ですから経年変化があります。色が退色したりはげた風になります。

もともと好みの色で外観を整えたわけですから、性能の問題ではなく美観の問題として塗り替えが必要になるかもしれません。

さて、羽目板の種類ですが塗装済みで販売されている羽目板と、自社で塗装する羽目板があります。

弊社も自社で塗装することが多いのですが、使う塗料はいろいろと種類があります。

自然素材系の塗料の種類としては、

オイル系:木の内部に浸透して表面に塗膜を作らないため、美しい木目の質感が浮かび上がり、しっとりとした仕上がり

ワックス系:表面をコーティングして汚れから守る。無塗装のような自然な仕上がり

オイルワックス系:両者を兼ねているものがあり、代表的なメーカーは

弊社では「いろは」を使うことが多いです。各メーカーのリンクを貼りました。

経年変化の例

上の画像の4年後の様子です。

雨風の当たり具合などにより経年変化の様子も違います。

8年が経過しましたが、塗り替えは行っていません。

木の外壁と相性が良い塗り壁

H邸 塗装杉板とそとん壁

上は塗装杉羽目板と塗り壁の組み合わせです。

ヒノキ床の小上がりには借景を楽しむ窓
O邸 ウッドロングエコとそとん壁

こちらはウッドロングエコと塗り壁の組み合わせで、どちらも「そとん壁」という火山灰由来の材料で出来ている塗り壁になります。

木の外壁と相性が良いガルバリウム

K邸 ガルバリウムと塗装杉板

こちらの画像はガルバリウムの外壁に玄関周りにだけ木を使っています。

どちらかというとガルバリウムの外壁の場合はポイントで塗装杉羽目板を使うと相性が良いようです。

そとん壁にしろガルバリウムにしろ、どちらも無垢の素材、本物の素材同士ということでとても相性が良いです。

日本で一番使われているサイディングについて少し

実は日本の新築のほとんどは安価な窯業系サイディングを使っていると思われます

サイディングは確かに初期の建築コストは安く抑えられても、実は後々にメンテナンス費用が定期的に必要になります。

ここは大事なところで、ほとんどの窯業系サイディングは継ぎ目処理に使うシーリングの耐久性が低く、10年~15年以内に打ち直しが必要です。

2階部分もサイディングで仕上げているでしょうから、足場代だけでも馬鹿になりません。

ただ、最近のサイディングはシーリングレスやシーリング自体が高耐久なものが出ています

もし、あなたの家の外壁仕様がサイディングなら担当者にその辺のことよーく聞いてください。

ここはケチっては絶対いけないところです。

こちらが大手サイデイングメーカーの高性能商品です。

外壁に木材を使う:価格のこと、まとめ

木の外壁は初期費用だけで比べると、安価な低耐久窯業系サイディングに比べると高いことは事実です

ですが、高耐久のサイディングと比較すれば変わりはありませんし、後々のメンテナンス費用を考えるとむしろ安いくらいです。

家を建てるということは生涯コスト(メンテナンス)がかかる、ということです

建てる家によっては生涯で1000万以上のコストの差がつくのです

そんな生涯コストについて詳しく知りたい方はこちらを是非どうぞ

本物の木というだけで内装材にしろ、今回のような外装材にしろ「高そう」と思われる方がホントに多くて残念です。

工事店によって価格の多少の違いはあるでしょうが、あなたの家づくりの外壁材の検討材料に木の外壁も是非加えてみてくださいね。

外壁と合わせて玄関ドアも悩ましいところ。

内装床にはぜひ無垢床材をおススメします!


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