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工務店としての日々の仕事の中から、「これは家を建てる前に是非知っておいて欲しい」という
基本的な家づくりの知識や、家づくりや暮らしについてのちょっとしたヒント、
マルトからのお知らせなども記事にしています。
気になる単語でも検索できます。例:「資金計画」「土地」「間取り」など

家を建てる前に読みたいお話
2017.12.26

エコキュートとネオキュートの違いとは?

エコキュートとネオキュートの仕組み どちらも「ヒートポンプ方式」というエアコンなどでよく聞く技術を使っています。 ヒートポンプ技術というのは、室外に設置されたファンが外気の熱を吸収し、その熱を利用してお湯を作ります。 電気だけでなく、外の温度も活用するので、とても省エネなんですね。 エコキュートが普及する前は電気温水器というまさしくヒーターで水をお湯に変える給湯器がありました。 電気温水器は購入価格がエコキュートに比べ安い(約半分)のですが、電気代が高くなります。 電気温水器を使った電気代はエコキュートに比べ3倍~4倍になります。 これから給湯器を購入される方にはお勧めできませんね。 弊社でも以前はよく使っていましたが、さすがに今では皆無です。 エコキュートとネオキュートの違いは何? エコキュートはお湯の使用量が多い4人以上の世帯で急速に普及しました。 でも、人数の少ない2人世帯などでは給湯量が多すぎる、設置場所に制限があるなどからあまり普及が進みませんでした。 実はエコキュートは貯湯タンクとヒートポンプユニットがあるので、設置場所として広いスペースが必要です。 また、ヒートポンプユニットは高圧力なので、故障した時現地で修理出来ません。 そんな中、最近出てきたのが『ネオキュート』です。 エコキュートと何が違うのかというと、冷媒(空気中の熱を運ぶ役割をする物質)が違います。 エコキュートでは二酸化炭素を冷媒として使っていましたが、ネオキュートでは、現在のエアコンに使用されているのと同じ、新冷媒R32を使用しています。 そのためヒートポンプユニットが計量コンパクトになり、また配管を長くすることが出来るので貯湯ユニットとヒートポンプユニットを離して設置できるようになり、より設置場所を選ばなくなりました。 ただ、エコキュートは二酸化炭素を冷媒として利用しているわけですから、地球温暖化対策として優れていますね。 そうは言ってもネオキュートも灯油の給湯器などに比べるとはるかに地球温暖化対策には貢献しています。 また、滅多にある事ではありませんが、冷媒が抜けても普通の電気屋さんで補充ができるので、故障時に対応時間が短くなる可能性があります。 ここからはダイキンのHPをもとに比較してみましょう エコキュートやネオキュートを作っているダイキン工業の試算では、 2人家族の推定使用湯量 270L/日 3人家族の推定使用湯量 380L/日 となっています。 エコキュート 460Lタンク(42℃換算だと850L使えます) エコキュート 370Lタンク(42℃換算だと650L使えます) ネオキュート 320Lタンク(42℃換算だと420L使えます) 省エネ性能(年間給湯保温効率)は エコキュート 3.6 ネオキュート 2.7 省エネ性能ではエコキュートに軍配が上がりますね 価格はどうでしょうか フルオートタイプで比較しました メーカーのカタログにはオープン価格となっており、検索で調べましたがあまり差はないようでした。 ただ、ご自分で設置できるものではありませんし、専門業者を依頼しないといけません。 新築の家に採用のご予定ならば建築依頼先に工事費込みで見積りをとるのが良いかと思います。 エコキュートとネオキュート、さてどちらを選ぶ?まとめ メーカーのHPなどにあるのは 2、3人ならば ネオキュート 3、5人ならば エコキュート370L 4、7人ならば エコキュート460L となっていますね。 弊社でも4人家族なら370Lをお勧めしています。 ただこの選び方は実をいうとザックリ過ぎるのかもしれません。 というのもお風呂に入る時間がバラバラとか、シャワーを出しっぱなしで長時間使うとかにより、状況が変わります。 本来であれば電気代の安い深夜に焚き上げてお湯を貯めたいのに、それまでに足りなくなって電気代の割り増し時間帯に動かさなくてはいけないこともあるようです。 予算に余裕があれば大きめのタンクを選ぶのが良いかもしれませんね。 メーカーのHPのリンクを貼っておきます。 ダイキン エコキュート ダイキン ネオキュート コロナ エコキュート コロナ ネオキュート ↓ 設備機器の性能だけじゃなく、家の性能で光熱費が変わるという記事です。 光熱費の平均を出してみた 一戸建ての高性能の家と築27年の家 後悔しない家づくりに役立つ小冊子差し上げます。下のバナーよりどうぞ。
家を建てる前に読みたいお話
2017.09.01

地縄張り、いよいよ始まる家づくりの第一歩

地鎮祭 地方や宗旨によっても違いはありそうですが、工事の無事を祈って土地の神様にお願いする儀式です。もちろん、するしないは自由なのですが、弊社のお客様はほぼされていますね。 写真は神式ですが仏式などもあります。 この時に「鎮め物」を頂き、基礎工事の際に地面に埋めます。 地鎮祭や鎮め物についての詳しい記事はこちら。 鎮め物 この後、地盤改良が必要な場合は改良工事が入ります。 地縄張り 敷地のどの位置に、どんな大きさで、どんな形で建つのかを知る為に、外周の壁がくる部分の地面にロープ等(写真でいうと緑色のヒモ。昔は縄を使用した為地縄張りといいます)を張ります。 最終的にこの位置で良いかという事をお施主様に確認します。 いつもこの時にお客様にお話しするのですが、地縄張りを見たお客様が大抵おっしゃるのが、 『小っちゃ!』 広い敷地の中にロープを張った地面だけをみると、とても小さく感じます。 基礎が出来上がった段階でも、イメージしていたよりは小さく感じられる方が多いです。 でも、上棟日に棟木まで組みあがった状態を見られると 『うちの家大きかったんやなぁ。』 という感想が。 ですから、地縄張りで『小さい』と思っても、建ったらそんなことないですよ!とお話しさせていただきます。 水盛遣り方(ミズモリヤリカタ) 地縄張りで大まかな位置を確認した後は、設計図書に記載通り、ミリ単位での位置を出す為に水盛遣り方をします。【丁張ちょうはりとも言います】 建てる家の外周よりも少し広いところに杭を打ち、その杭に「水貫」という板を水平に取付けます。 その水貫に、基礎の立上りがくる部分に印を付け、その印を元に基礎を作っていくことになります。 現在では、水平を出すのは【レーザーレベル】という機械で、設置した高さでレーザーを出すので、その高さに合わせれば水平になります。 また、直角を出すのは【トランシット】という機械で、直角どころか、〇〇度〇〇分〇〇秒の単位まで出せます。 そんな機械がなかった頃はどうしていたかというと、 図のような原理で、バケツのような入れ物に取り付けたホースの先部分の水の高さはバケツ内の水面高さと同じになります。 以前は大工さんなら誰でも持っていました。 ちなみに、専用の道具でなくても、ペットボトルの蓋に穴を開け、水が漏れないようにホースをつなげれば、立派な水盛管になりますし、もっと簡単にしようと思えば、バケツにホースを漬けるだけでもOKです。 こうやって水で水平を出すことから水盛と呼ぶようになりました。 水のラインに合わせて設置する板なので【水貫】 水の高さに合わせて張る糸を【水糸】 要は、基準となる水平な高さを【水】と呼びます では、直角を出すのは、【トランシット】という角度を出す機械がなかった頃はどうしていたのでしょうか。 『ピタゴラスの定理』 です。 直角三角形の斜辺の2乗は、他の2辺のそれぞれの2乗の和に等しい。 斜辺をA、その他の2辺をB、Cとすると、A=B+C ということです。 この公式が成り立てば直角であるということなので、巻尺等があれば直角が出せます。 若い頃に教えてもらったのは サ・シ・ゴ 三角形の3辺が3:4:5なら直角三角形になります。 例えば、4mの直線の両端から3mと5mの交点になる所と4mの端部(3mの方)とを結んだ線とは直角です。 この割合は大きくても小さくても変わらないので、その建物の大きさに合わせ、直角を出していました。 根切り 水盛遣り方で基礎の配置に印を付けたら、根切という、基礎のくる部分を掘る作業になります。 この写真では、建物の外周部だけが掘られているように思えますが、中の部分も、『水』からキッチリ高さを割り出して調整されています。 その後、設計図書通りに砕石を敷き、よく転圧して掘り下げた外周部に『捨てコン』という、コンクリートを流し込みます。 この画像では判断しにくいのですが、捨てコンの均してある高さは、地盤面=設計GL(グランドライン)より18低い位置なので、建物が完成した時には、完全に隠れている事になります。 墨出し 上で紹介した『捨てコン』は何の為にするかというと、墨出しの為です。 現在弊社では、ベタ基礎で構造計算をしています。ベタ基礎はまず外周部の型枠を設置しなくてはならないのですが、その型枠を設置する位置に印をつける為のコンクリートです。 その上に墨つぼで線をつけていきます。 ご存知ない方の為に、墨つぼとは 車輪のような形のところに糸が巻き付けてあり、糸を引き出すと、墨を染み込ませてある布等を通った時に糸に墨が付きます。 線をつけたいところの両端にその糸を張り、糸をつまんで弾くと、真っ直ぐな線が付くというものです。 大工さんが使っている印象が強いのですが、大工さん以外でも、建築関係の仕事では必需品です。 最近は墨がこぼれにくく、携帯しやすいこんな形のものが、よく使われています。 で、墨つぼを使い こんな風に型枠の位置を出します。 防湿シートを敷く 全面に防湿シートを敷きます。 地中からの水分というのはものすごくあり、時期によっては、防湿シートが全て敷き終わった時に、最初に敷いたシートの裏側には水滴がついていたりします。 このシートを敷くのと敷かないのとでは、床下の湿度に雲泥の差が出ます。 配筋工事など本格的に基礎工事に進みます。 基礎工事については大切なことも多いので別記事で書くことにします。 ベタ基礎だからと安心できない 布基礎との比較 動画あり 後悔しない家づくりに役立つ小冊子差し上げます。下のバナーよりどうぞ。
家を建てる前に読みたいお話
2017.05.02

家の設計図にまつわる数字 これで打ち合わせもスムーズに進む!

家の設計図の数字の基礎 家を建てるとなって初めて目にされる方も多いと思うのが「設計図」 その建築の図面に書かれている数字の単位はご存じでしょうか。実は mm(ミリメートル) なのです。建築の仕事に携わっている者にとっては、当たり前の数字ですが、一般の人はなかなかピンとこない場合があります。 やはり、cm(センチメートル)の方がわかりやすいみたいなので、今回はcmも併記して説明したいと思います。(でも、慣れることをおススメします(^^♪) さて、日本の建築の場合は大工さんが使っている尺貫法(しゃっかんほう)という数字の単位が基本になります。 1寸(いっすん)≒ 3.03cm(30.3mm)  ※明治時代に、1寸は1/33メートルと定められました。 10寸 = 1尺 ≒ 30.3cm(303mm)となります。 このように、厳密にいえば整数にならない数字なので、一般的に使われている基本の数字が、 1間(いっけん)= 6尺 =182cm (1820mm) 半間(はんげん)= 3尺 =91cm(910mm) 1坪=3.3㎡ = 1間×1間 となります。 3尺、6尺は簡単に言うと柱の配置ピッチになります。 外に出られる大きな掃き出し窓は、大抵は6尺(1間)になっています。 他には、聞いた事があるのが京間や江戸間、といったホームセンターに売ってあるカーペット等に表示してある言葉。 これは地方によって畳の大きさが違い、「6帖」といっても、畳が6枚というだけで、面積は全く違います。 代表的な4種類の畳のサイズは、 京間(本間) 95.5cm×191cm(関西以西) 中京間 91cm×182cm(東海、東北・北陸の一部、沖縄、奄美など) 江戸間(関東間)88cm×176cm(全国) 団地間 85cm×170cm なぜ畳のサイズに違いがあるのかですが、平安時代の身分の違いや、建築の基準寸法となる畳のサイズを小さくすることで、材料面の節約を図ったとも考えられるそうです。 それぞれのサイズで単純に6枚分(6帖)の面積を計算すると(部屋の内々の実寸になります) 京間(本間) 10.94㎡   中京間 9.94㎡ 江戸間(関東間) 9.29㎡ 団地間 8.67㎡ となります。これ全部同じ6畳という表記ですが、面積は全然違いますね。 家の設計図の数字の謎 半間=3尺=91cm(910mm) 1間=6尺=182cm (1820mm)でしたね。 ところがそうでない場合もあります。 建築のあらゆる構成材料を、一定の大きさの倍数関係に整える考え方の基本となる寸法をモジュールといいます。 尺(しゃく)や間(けん)なども、日本の代表的な『モジュール』で、 半間(はんげん)=91cm(910mm)の事を 910(きゅうひゃくとう)モジュール又は尺(しゃく)モジュールと呼びます。 それに対し、半間(はんげん)=100cm(1000mm)とする単位があり、 これをM(メーター)モジュールと呼びます。 ちなみに、尺モジュールでの【6畳】の面積は約9.94㎡で、Mモジュールでの【6畳】の面積は12.00㎡となります。 同じ6畳でも、約2割程も大きさが違うんですね。 日本のほとんどの住宅建築は910モジュールで作られていると思います。 そのため設計図では910の倍数の数字が並ぶことが多く、余計に分かりづらくさせているのかもしれません。 家の設計図の敷地面積 家の面積には敷地面積という、これから建てようとする土地の広さを示す面積があります。 これには登記簿(不動産の物理的状況と権利関係を法的に記録(登録)した帳簿のこと)に記載されている登記簿面積と、実際の寸法である実面積があり、登記簿面積は明治時代に作られた古いものがベースになっていることが多いです。 そのため都市部や分譲地を除くと不正確なものが多くなっています。 建物を建てる時に提出する『建築確認申請』では、実面積を測った上で図面に記入するのですが、登記簿面積と実面積が違うのは当たり前のようにあり、一割程度の差なんてザラにあります。驚きですね。 これが二割三割と違ってくるとさすがに役所の検査時にチェックが入り、何か違うのではないですか?と指摘を受けます。 新しい分譲地等であれば、境界表示(杭・プレート)もしっかりしてあり、測量図も正確なのでいつでも境界がわかりますが、昔からの土地ですと大きな石であったり、樹木であったり、目印となるものがはっきりしていないことが多いのです。 そのため実際の境界は、その近隣の人にしかわからない、ということが起きるのです。 ご先祖様の土地に代々住んでおられる方は、先代からしっかりと境界を教えてもらってください。これ、大事です。 家の設計図の床面積 吹き抜けになっているダイニング 家の設計図の床面積 字の通り、建物の床の面積のことですね。 通常、壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことを指します。(水平投影面積:真上から見た時の面積) 柱の中心ですから、実際の部屋の壁から壁の寸法よりも大きくなります。 尺モジュールの6帖を例に挙げてみます。 柱の太さや仕上の種類によって部屋内部の面積が変わりますので、今回は柱の太さ10.5cm×10.5cmで計算しましょう。 尺モジュールの6帖は、2.0間(364cm=3.64m)×1.5間(273cm=2.73m)=9.9372㎡となります。 ところが建物が出来上がってから、壁の仕上げ面の内側を測ると、部屋の大きさは 3.51m×2.60m=9.126㎡となり、0.8112㎡(約0.5帖分)の差があります。 『床面積』とは言っても、実際に『床』として見える部分の面積ではないんですね。 家の設計図の延べ床面積 建物の各階の床面積の合計のことです。 固定資産税などの計算に使われる面積なので、これが小さいと税金も安くなります。 吹抜はその部分には床がないので床面積には入りませんので、小さい床面積でも広々見せるのには効果的かもしれません。 階段は、2階の床のようには思えないかもしれませんが、床面積として計算します。 小屋裏収納というと除外されそうに思いますが、天井の高さが140cmを超えると床面積として計算します。 ちなみに、2階の上の屋根裏部分に天井の高さが141cmの収納を作ったならば、その建物は3階建てになります。 逆に、3層の建物でも1層目や2層目の天井の高さが140cm以下なら2階建てです。 また、容積率の緩和措置というものがあり、ビルトインガレージ等車庫として使用する部分は床面積に参入しなくてもよいという特例があります。 家の設計図の建築面積 「建物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による」と、建築基準法施行令第2条1項2号に定義されています。 一般的な住宅では、1階部分の面積が概ね 該当します。 床面積との違いは、玄関ポーチの屋根を支えている柱等があった場合、その柱で囲まれた部分も入ります。 また、ものすごく深い軒や2階のバルコニー等、1.0mを超えて突出している場合は、その先端から1.0m以内の部分を除き、建築面積に参入することになっています。 例えば、軒先が外壁の中心から1.2m突出していたなら、軒先から1.0mの分は参入されませんが、0.2mの分が参入されます。 あと、このあたりではあまり見掛けませんが、地下室の部分が地盤の高さより1.0m以内(半地下みたいなもの)であれば、建築面積には参入されません。 家の面積にまつわる制限 家の面積にまつわる制限 建ぺい率 本来は建蔽率(けんぺいりつ)と書きますが、以前は『蔽』の字が常用漢字として認められていなかったので、現在でも建築基準法の条文には『建ぺい率』で載っているものがあります。 意味は建築面積の敷地面積に対する割合のことになります。 敷地に一定の空地を残すことによって採光や通風を確保し、火災による延焼防止を図り、さらに良好な市街地環境を整えるために定められました。 どの土地も、住居専用や工業専用、商業地域などなど細かく用途地域という区域に分類されていて、その地域ごとに建蔽率が定められています。  例えば、100㎡の土地が建蔽率60%であったなら建築面積の最大は60㎡という事になり、それ以上の大きさのものは建てられません。 土地の大きさだけでなく、建ぺい率も調べておく必要がありますね。 家の面積にまつわる制限 容積率 容積率とは延べ床面積の敷地面積に対する割合のことを指します。 容積率も建蔽率と同じように、用途地域別に値が定められています。 例えば、100㎡の土地が容積率200%であったなら、延床面積の最大は200㎡という事になります。 こちらも建ぺい率と同じく事前に調べておいたほうがいいですね。 これらのことが頭に少しでも入っていると、打ち合わせの際などに???とならずに済むかもしれませんね。