2020.09.10
工務店経営者が語る、自邸の家づくり・・土地を読む編
以前、土地を購入するに当たってのポイントをブログに書きました。
ハザードマップで災害の少ない場所か調べたり、地盤が緩い土地でないか調べたり、学区・駅・スーパー等暮らしていく上での利便性、価格などの情報を整理して決めていきましょう、というようなブログです。
家づくりのための土地探し、ポイントを押さえよう!
もちろんこれが正しい土地の見つけ方。
でも、今日は少し違った切り口です。
さっきのブログでご紹介したのは、物理的な情報を元にした土地の決め方なんですね。
値段が○○○万円駅まで○○分想定浸水高さ ○○センチetc
今回は、数字で表せない部分「その土地で心地よく暮らすには?」という部分にフューチャーした土地の見方を説明します。
これは私のやり方なので、正解ではないかもしれません。他にもやり方はあると思います。
ただ、こういう見方をすると、物理的情報が例え良く無くても、良い土地の場合がありますし、逆に、最高の土地のはずがそうでもなかったり、、、
とにかく知っておいて損はありませんから、良かったら参考にして下さい
その地に立って感じてみよう
言葉通りです。まずその土地の中央に立って色んな物を感じて下さい
目で見える物、耳で聞こえる物、肌から感じる物など
具体的に説明した方が良いので私の土地購入の時の事を参考に説明しますね
目で見える物
200坪を超える大きな土地ですが、周囲に隣家が建ち並ぶ、在所の中央。景色が良い訳ありません(苦笑)
但し、その古くからの建物が建つ街並みは決して不快な感じはなく、この地域の特徴であるベンガラ塗りの在来工法の家だったり、築年数100年を超えているような蔵、畑や近所の生垣など、人工物で造られた物はほとんど見えません。
倉敷などの美観地区のような美しさはありませんが、この地域を表すある意味風情ある景観です。
ちょっと目線を上げて見ましょう。東には霊山の山々
北には緑の木々が生える小高い山
南には多賀大社の御社を守る御神木の森(写真南)が見えそうです。
もう少し目線を上げましょう。高圧線や電線といった障害物はありませんね。
高圧線からの電磁波の健康被害を聞いた事がありますので、この部分も少し安心できる所です。
耳で聞こえる
丁度時期的には、稲刈りをされてる時期でした。在所は田畑に囲まれており、稲刈り機などを動かされていましたが、その音はほぼ聞こえません。
特に大きな工場は無い事を確認していますので、もちろん工場の音はありません。
2、300m離れた所に国道がありますので、トラックなどの音が聞こえるかと思ったのですが、ほぼ聞こえません。前面道路の車の往来は調査している30分の間は1台もありませんでした。
少し歩いた所に、農業用水路と芹川があるので川のせせらぎが聞こえるか?と期待していたのですが、さすがにそれは無理でした。
感じた印象は「無音」です。
肌で感じる
近くに工場があったり、家畜場などあると、独特の匂いはします。これは無かったのですが、ご近所でドラム缶を焼却炉変わりにされてる家があり(これ違法なので本当はダメですからね。皆様は法律的に問題ない焼却炉をお使い下さい)、その匂いが若干しました。
そして風
あまり風の強い日では無かったのですが、微かに風を感じます。
この地域は日中は基本的に琵琶湖からの西風があります。但し、東西に長い在所だからか、西からの風は家に遮られ、あまり風を感じられません。
逆に北側に隣家の畑があってそこが少し空間としてあいてるせいか、北からの風を感じます。こちらは北側に芹川がありますので、もしかしたら川風かもしれません。
そして南側からも風を感じます。
というかこれが西からの風かもしれません。西風が家に当たり南の道路を通ってきているか、東の家に当たってから来ているのかわかりませんが、南方向からも風を感じます。
ちょっとうろうろ歩いてみよう
不審者と勘違いされないようにして下さいね(苦笑)
家の廻りを少しウロウロしましょう。ネットだけでは掴めない情報があります。
ちょっと歩けば、子供の遊べる近所の公園やグランドがあります。この公園は隣に隣接する大きな分譲地用に作られた公園です。遊ぶ場所には申し分ないですし、息子が大きくなったらここでキャッチボールをする絵が浮かびました(笑)
小さな神社にお寺さん。子供の事なので、お寺や神社で遊ぶのでしょうね。
、、、、
と思ったのですが、最近の子はそんな遊びしないようです!
20mも歩けば小川があり、反対の北側には芹川があります。芹川での川遊びはもちろん、小川にもサワガニとかいてめちゃくちゃ遊べそうです(私が子供なら)
子供の遊び場には申し分ない環境ですが、水路(小川)にガードレールはありません。また、芹川はそれほど流量はありませんが、それでも一級河川ですから、雨が降れば荒れ狂う川に早変わりします。
この二つの川は少し注意が必要かもしれません。子供には、よーく言い聞かせなければなりませんね。
もちろん、車の脱輪も考えられます。
道幅は3mありませんから行き交う事は不可能です。但し、車の往来は皆無に等しい?と言っていいぐらい通りません。ただの通りやすい道です。
古い在所だけにあまり新しい家はありませんでした。前情報として多少知っていましたが、私達より一つ上の世代が多いようです。過疎までは行ってませんが、若い世代は外に出ている家が多いようです。
ゴミ収集場はちょうど良い距離感です。近くだと匂いとか気になりますしね。近すぎず遠すぎずって感じです。
田畑に囲まれた在所で、本当にのどかな風景が広がってます。村民の皆様と仲良くしてたら、畑の野菜の差し入れが期待出来そうです(冗談です)
それよりも、自宅の敷地内で畑をしようと考えていましたので、教えてもらえそうな方がたくさんいらっしゃりそうで、これはある意味プラスポイントかと。
見て、感じて、歩いた情報を整理しましょう。
見た情報
周囲が建物に囲まれていますから、基本的に1階からの景色は良くありません。但し、一部建物のスキマから山々がみえますし、2階からは先程の森や木々が見えますので、借景とまでは言えませんが、これは家からの眺めとして有効利用します。
個人の嗜好ではありますが、1階から見える景色は「森」「林」にしたいと思ってますので、大きな土地を利用して、LDKからの眺めには森のような庭をしようと考えました。
ここにウッドデッキをし、庭を眺めたり、家族で遊んだりの多目的スペースにします。またこの庭は作り込んだ物にするのではなく、ビオトープでは無いのですが、雨が降った時にだけ溜まるような池を作ったり、出来るだけ自生しているような自然な環境に整えて、子供達には学びと、訪れてくれる方には癒しが与えらえたらと考えました。
そしてそして、この森のような木々を利用して、プライバシーを守ったり、お隣との境界を作っていければと考えた訳です。
何故か?どの家も境界にフェンスなんてしてませんから!(笑)
もちろん、生垣や門などされている家もありますが、個人的に、この微妙にオープンな感じが古い在所の良い所かとも思っていますので、そういう所は守っていこうかと。
近所のおばちゃんが、木々の間から入ってきて「きゅうり ぎょうさん出来たからいらんか?」と言いながら入って来られる事も想定(希望!?)しています
道路側も最初の写真にありましたが、石垣や草花をうまく利用して、周囲の景観になじむような自然な感じに仕上げようかと思いました。
聞いた情報
無音でしたから、ほぼ対策無しです。普通に作れば困る事は無さそうですね
感じた情報
匂いについても特になにも問題なし。近所のドラム缶焼却炉については、止めて下さるのを期待するしかないですね(苦笑)
風は間違いなく南北を意識した間取りにしたいと思います。南から北への抜け道が出来れば、風は良く通ります。
2階は、恐らく琵琶湖からの西風がありそうなので、西にも風を取り込める窓を設ける方が良いでしょう。
歩いた情報
子供が遊ぶには、車の往来がほぼ皆無で、交通事故という危険性が極めて少ない地域であり、遊び場だらけです(私が子供なら)自然の脅威をしっかりと子供に伝えられれば、こんなによい環境はありません。
古い建物が多いという事は今後建て替えされる可能性はあります。ただ、大きな土地を買ってますので、近所の家が3階建てになっても、畑や駐車場はともかく、家が日陰になる事はありません。
一つ世代が上の方々なので、うちの子供は完全に孫みたいなもんで、子供を連れて見に行った時は、早速遊んで下さってました。
不動産的には道幅が狭いというのは、結構なマイナスイメージです。前面道路が4mなら行き交う事が出来ますが気を使いながらの往来になるので敬遠されます。6mまでいけば全く問題ありません
今回の現場は3mありませんでした。2.5mぐらい。南側からだと2mあるかないか。
でも先程も書きましたが、車さえ来なければ、ただの道です。苦も無く通れます。
南側からは軽自動車は問題ありませんが、普通車は少し厳しいです。
但し、この土地はどちらかというと北側から入ってくる方が便利そうな土地ですし、北側だけの出入りになったとしても不便を感じるような距離感はありませんから。
まとめ
全面道路が2.5m? そんな狭いの無理
古い在所? しきたりとか面倒だし古臭そう
近隣に囲まれている? 景色が悪そう。近所付き合いも面倒くさそう
あなたが今までデメリットと思っていたことは、それほどデメリットでは無かったり、場合によってはメリットになる部分がある事に気付いて頂けましたでしょうか?
もちろん、個人の考え方によってはNGの部分もあったかと思いますが、不動産的に価値は低くても、それ程問題でない事は理解して頂けたかと思いますし、何より不動産的に価値が低い条件があると、価格が安い!これはオマケです(笑)
土地を決める前、また決めたあとの間取りを考える上では、ネットの情報や不動産情報だけではわからない、現地に行かないとわからない部分が、良い事も悪い事もたくさんあります。
物理的な条件が揃ったからと言って契約するのではなく、現地を自分の目でみて、その先の暮らし方まで想定して考えれば、自ずと答えは出てきます。
間取りについてはもちろん工務店の協力が必要ですが、景色を確認し自分が癒される・心地よく感じれるポイント(山々や自然が見えたり)を見つけられれば、そこを中心においた家造りを依頼すれば良いのです。
そんな見方から始まる土地選びですが、今回題材にした自邸の完成見学会が間もなく始まります。ご来場の際はその地に立って、私の言っていた事を確認しながら見て頂くと、間取りや家の配置や庭(まだ出来上がってませんが)が何故こうなったのか理解して頂けると思います。
家を建てる前に読んでほしい小冊子差し上げます下記からどうぞ。