長持ちする外壁材として、近年注目を集めている「そとん壁」。
サイディングやガルバリウム鋼板などの工業製品にはない、100%自然素材ならではの「土のぬくもり」や「独特の風合い」が人気の素材です。
しかし、デザイン性に惹かれる一方で、「自然素材だからこそ、デメリットや将来のメンテナンスが不安……」と悩まれている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、そとん壁の原材料や特徴について、弊社の実際の施工例を交えながらプロの視点で分かりやすく解説します。
メリットだけでなく、建てる前に知っておくべき注意点も包み隠さずお伝えしますので、ぜひ家づくりの参考にしてください。
そとん壁の「原材料」とは?100%自然素材の秘密

主原料は南九州の火山噴出物「天然シラス」
そとん壁の他の外壁材と一線を画す理由は、その原材料にあります。
主原料となっているのは、南九州の広大なシラス台地から採取される火山噴出物「天然シラス」です。
これは今から数万年前、大噴火を起こした火山のマグマが急激に冷やされてできたもので、専門的には「無機質セラミック物質(マグマセラミック)」と呼ばれています。
人工的に作られた化学物質ではなく100%自然由来の成分で、そとん壁の耐久性や独特の美しい質感はすべてこの天然シラスの力によるものです。
化学物質一切不使用の安心感
そとん壁は、合成樹脂や化学着色料などの化学物質を一切含まない「完全な自然素材」で作られています。
一般的な外壁用の塗料やサイディング材の多くには、耐久性を高めたり、施工を簡単にしたりするために、アクリルやウレタン、シリコンといった合成樹脂(プラスチック成分)や、さまざまな化学着色料、防腐剤などが含まれています。
これらは経年劣化によって変色したり、紫外線でボロボロになって剥がれたり(チョーキング現象など)するため、定期的な塗り替えが必要不可欠です。
一方、そとん壁は天然のシラス粒子そのものの色や質感、そして自然由来の結合材だけで構成されています。
化学物質による接着や着色に頼っていないため、紫外線にさらされても劣化や退色(色あせ)がほとんど起こりません。
また、製造時や廃棄時、あるいは万が一の火災時にも有害なガスを発生させないため、住む人だけでなく地球環境にとっても非常に優しい、持続可能な外壁材と言えます。
工業製品にはない、そとん壁の4つの優れた特徴

塗り替えいらず?驚異の「高耐久」でメンテナンスコストを削減
そとん壁の最大のメリットは、「基本的に塗り替えがいらない」と言われる高耐久性にあります。
一般的なサイディングの場合、紫外線や雨風による劣化を避けることができず、およそ10年〜15年の周期で定期的な塗り替えやコーキングの打ち替えが必要です。
そのたびに足場代や塗装費用として、1回あたり150万円~の大きなメンテナンスコストが重くのしかかってきます。
しかし、無機質のセラミック物質であるそとん壁は、太陽の紫外線や激しい風雨にさらされても、素材自体がボロボロになったり色あせたりすることがほとんどありません。
つまり、家を建てたときの「初期費用(イニシャルコスト)」はサイディングより高くなるものの、その後30年、40年と長く住み続ける中での「維持費用(ランニングコスト)」を抑えることができるのです。
雨は通さず湿気は逃がす、「完全防水×透湿性」の2層構造
一般的な外壁材は1層で雨水を防ごうとしますが、そとん壁は「下塗り材」と「上塗り材」の2つの役割を分けることで、画期的な機能を実現しています。
建物の土台に直接触れる下塗り材には、粒子の非常に細かい超微細なシラスを使用しています。
この下塗り層が、外からの激しい雨水の侵入を完全にシャットアウトします。
外側に見える上塗り材は、あえて少し粗い多孔質(細かい穴が多数ある)なシラスで仕上げています。
この無数の穴が、建物内部に溜まった余分な湿気(水蒸気)を外へと逃がす「呼吸する壁」の役割を果たします。
「雨水のような大きな水の粒」は中に通さず、「目に見えない細かな湿気(水蒸気)」だけを外に逃がす、この絶妙なバランスにより、表面に防水塗膜を張るタイプの外壁材で起きやすい壁内結露の心配が少ないのです。
天然の「断熱・遮音効果」
そとん壁の原材料であるシラスは、住まいの居心地を格段に高める「天然の断熱・遮音材」としても機能します。
シラスの粒子が「多孔質」と呼ばれる、内部に無数の微細な空洞を持つ構造で、この1つひとつの小さな空洞が空気層となり、外からの熱や音を遮断するクッションのような役割を果たしてくれます。
本物が持つ唯一無二のデザイン性と高級感
そとん壁のもう一つの大きな魅力は、工場生産のサイディングには決して真似できない、左官職人が現場で一枚一枚、丁寧に塗り上げていく手仕事の美しさです。
一般的な外壁材にあるような「目地(パネルとパネルの継ぎ目)」が一切なく、建物全体をぐるりと美しく包み込む「シームレス(一枚壁)な外観」が実現します。
さらに、職人の技によって様々な表情(テクスチャー)を作り出せるのも大きな特徴です。

マルトでも採用のある塗り方が、
かき落とし仕上げ: 表面を専用の剣山などで引っかいて粗く削ることで、重厚感と土本来の力強い素材感を引き出す、和モダンに最適な仕上げ。
スチロゴテ仕上げ: 発泡スチロール製のコテを使い、独特の波模様やナチュラルで柔らかな風合いを描き出す仕上げ。
人工的なツヤのない、100%自然素材だからこそ出せるマットで温かみのある質感は、住まい全体を上質に仕上げます。
【弊社施工事例】そとん壁の美しい住まいのカタチ
そとん壁は、同じ色を選んでも仕上げ方法によって外観の表情が大きく変わります。
全面を同じ仕上げの家だけでなく、玄関まわりや中庭側だけ仕上げを変えてる、他素材との組み合わせなどの事例もあります。
和モダンなグレーの「かき落とし仕上げ」の家

どんなテイストにも合う「シラス色系」の家

温かみのある人気の伊礼色(ベージュ系)の家


【築7年】経年変化の様子


1階部分のウッドロングエコはかなり色味の変化がありましたが、2階のそとん壁の部分はほぼ変化なしです。
隣家と隣り合っている部分もカビなどの発生もなく、10年以上経過した今もほぼ様子は変わりません。
| 色の系統 | 外観の印象 |
|---|---|
| グレー | 落ち着き、都会的、引き締まった印象 |
| シラス系 | 明るい、清潔感、軽やかな印象 |
| ベージュ・伊礼色系 | 温かみ、上品、町並みになじむ印象 |
知っておきたい、そとん壁のデメリットと注意点

初期費用(イニシャルコスト)がサイディングより高い
そとん壁を検討する際、多くの方が最初に直面するハードルが、サイディングなどの一般的な外壁材に比べて「初期費用(イニシャルコスト)」が高くなるという点です。
南九州の限られた地域から採取される希少な天然シラスを贅沢に使用しているため、材料そのものの価格が高いこと。
現場で熟練の左官職人が「下塗り」と「上塗り」の2工程をすべて手作業で丁寧に塗り上げていくため、どうしても施工費(人件費)がかかることです。
しかし、基本的に塗り替えが不要なそとん壁は家を建てたときの一時的な出費だけでなく、30年、40年先まで見据えた「長期的な資産価値」として捉えると、決して高すぎる選択肢ではないと言えます。
| 比較項目 | そとん壁 | サイディング |
|---|---|---|
| 外観 | 左官による自然な質感や一体感を出しやすい | 柄や色が豊富で、均一な仕上がりにしやすい |
| 施工性 | 職人の技術や乾燥条件の影響を受けやすい | 板材を張るため工程や品質を管理しやすい |
| メンテナンス | ひびや汚れ、浮きなどを点検し、必要に応じて補修する | 目地や塗膜の10年ごとのメンテナンスが必要 |
| 費用 | 材料だけでなく左官工事費や施工手間を含めて判断する | 商品グレードや目地、施工面積によって変動する |
施工初期にポロポロと粉が落ちます
そとん壁の自然素材ならではの性質として、特に施工の初期段階において、表面から仕上げ材がポロポロと落ちます。
これは、化学樹脂(プラスチック成分)などの強力な接着剤で表面をガチガチに固めているわけではないため、施工時に残った余剰な仕上げ材が剥がれ落ちることで起こる現象です。
初めてこの現象を見た方は「壁が劣化して崩れてきているのではないか」「防水性が落ちてしまうのではないか」と不安に思われるかもしれませんが、心配はいりません。
仕上げ材が落ちるのはあくまで表面の余分な粒子だけであり、これによってそとん壁の強度が低下したり、下塗り層が持つ優れた防水性能が損なわれたりすることは一切ありません。
時間と共に自然と落ち着いていきます。
建物の動きによるひび割れ(クラック)のリスク
そとん壁は非常に頑丈な無機質のセラミック素材である半面、素材自体が硬いため、建物の動きによって「ひび割れ(クラック)」が入るリスクがあります。
サイディングのように目地(ゴム状のシーリング)で揺れを吸収することができないため、こうした建物の強い動きに追従しきれず、髪の毛ほどの細いひび割れ(ヘアクラック)が発生することがあります。
ただ、独自の2層構造になっているため、外側の上塗り層に小さなひびが入ったとしても、防水・強度に直結する深刻なクラックになるケースは少なく、補修用キットで対応できることがほとんどです。
マルトではお引き渡し後のアフターメンテナンス体制も整えておりますので、気になるクラックを見つけた際もすぐに対応いたします。
立地環境による苔や汚れの対策
そとん壁は、静電気を帯びないためホコリやチリを吸着しにくいというメリットがある一方で、お住まいの立地環境によっては、苔(コケ)や雨だれによる汚れが目立ちやすくなることがあります。
これらを防ぐための最大の対策は、「汚れたら、焼き付く前に早めに対処する」ことです。
後からの外壁への穴あけは原則NG
高性能な家づくりにおいて、外壁面は「家全体の気密性(隙間のなさ)と断熱性」を保つための重要な境界線です。
後から安易に穴をあけてしまうと、外壁の内側にある気密シートや断熱材まで傷つけてしまい性能の劣化を招き、構造を傷めたりする原因になります。
また、そとん壁においては防水層が破壊され、雨漏りの原因にもなります。
そのため、外壁に固定する可能性のある設備や器具(エアコンの配管位置、外灯、物干し金具など)は、必ず設計段階(お打ち合わせの段階)で全て計画しておく必要があります。
まとめ:そとん壁をおススメしたい人はこんな人

大量生産されたサイディングにはない職人の手仕事、そして目地(継ぎ目)のない美しい一枚壁の持つ、本物の素材感を求める方。
建築時のコストがかかっても、維持費の安い長持ちする外壁材を求めておられる方。
このそとん壁も他の自然素材系の材料と同じく、扱いなれていない施工会社に依頼するとコストも高くなり、施工精度も不明などリスクを伴います。
建築会社を選ぶ際にはそういったことも含めて検討が必要です。
そとん壁の施工が見たい方はモデルハウスのご予約をおススメします。
そとん壁と相性の良い木の外壁についてはこちらの記事をどうぞ。
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