家の外観を印象づける重要なポイントの「外壁」。
世の中には様々な種類の外壁材が存在します。
その中でも、木の外壁は自然素材ならではの本物の質感と経年変化の美しさが魅力です。
一方で、木の外壁は魅力的だけど「腐る?」「価格が高そう」という不安もよく聞かれます。
この記事を読めば、30年後に「選んでよかった」と思える理由がわかります。
それでは、木の外壁の種類・コスト・耐久性・メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
木の外壁で「後悔する人」と「満足する人」の違い
「外壁に本物の木を使うなんて、本当に大丈夫?」
「あとで後悔したくない……」
そう悩まれる方は少なくありません。
確かに、SNSやネットの口コミを見ると「木の外壁にして失敗した」「すぐ腐る」といったネガティブな声を目にすることもあります。
しかしその一方で、何十年経っても「我が家が一番かっこいい」「木の外壁にして本当に大満足!」と愛着を持ち続けている方も、実はたくさんいらっしゃいます。
ネガティブな声はSNS上で発信されやすいのですが、満足されている方は往々にして自ら発信されていません・・・
さて、この「後悔する人」と「大満足する人」の決定的な違いはどこにあるのでしょうか?
理由は、住まい手の「価値観」と、建築会社の「設計・施工の知識」の2つにあります。
「変化」を傷みと捉えるか、味わいと捉えるか
木の外壁は、サイディングなどの工業製品と同様、月日の経過とともに必ず色や質感が変化します。
ただ、その変化の仕方がサイディングなどとは違います。
木の外壁では素地の色が現れ始めると色が薄くなり、だんだんと落ち着いたシルバーグレーに変化します。
その様子を「古くなり傷んでしまった」と感じてしまう方は、木の外壁を選ぶと後悔してしまうかもしれません。
一方で、満足されている方は、この変化を「我が家が年齢を重ねている証拠」として楽しんでいます。
本物の自然素材だからこそ生まれる経年変化を、「味わい」として見られるかどうかが最大の違いです。
「木を長持ちさせる設計」がされているか
「木は水に弱くてすぐ腐る」というのは半分正解で、半分は間違いです。
雨がかかったくらいで木の外壁が腐るようなことはありません。
万が一あったとしたら雨が当たったまま乾かない、常に湿っているような設計など他に原因があります。
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
ただ雨がかかる部分は、かからない部分と比べて変色などのスピードが違ってきます。
何より外壁の種類にかかわらず、雨の侵入などのリスクを考えると軒がしっかりと出ている設計の方が軒無しよりも安心です。
木は驚くほど長持ちします。
実際、奈良時代の正倉院が今も残っているように、適切な設計と補修を施せば木は何十年、何百年と耐え抜く力を持っているのです。
【実例紹介】木の外壁 4つの種類と、リアルな経年変化

樹種や仕上げ方法、貼り方によって見た目の印象が変わる木の外壁ですが、ここでは代表的な物や、経年変化の様子を紹介します。
天龍焼杉 30年~50年ノーメンテナンスの耐久性

杉板は日本で古来から使われている外壁材です。
その中でも焼杉板というのは文字通り杉を焼いたもので、焼くことにより表面を炭化させ(炭化層を作る)、「腐朽菌」(木を腐らせる菌)の繁殖に必要な栄養素などをなくすため外壁に適した材になります。
焼杉板には手仕事で焼く三角焼きと、機械で焼くバーナー焼きというものがあります。
手仕事で焼く三角焼の方が炭化層は厚く作られます。
天龍焼杉は手仕事の三角焼で作られたものです。
アップで見ると下のようなテクスチャーになります。

焼杉は経年により炭の部分が徐々に落ちてゆきいずれは本来の木の地色が出てきますが、天竜焼杉など炭化層の厚いものは条件にもよりますが50年ノーメンテナンスの例もあり、30年持つとはよく言われる言葉です。
下の画像は天竜焼杉のノーメンテナンスの50年後です。
姫路の工務店クオホーム様の天竜焼杉についての記事からお借りしました。
さすがに炭化層の多くは失われ、木の素地が出ています。
ただ、素地が出ているからと言って外壁としての性能が落ちたわけではありません。
割れや反りがなければ問題はありません。

一方、下の画像はバーナー焼で作られた塗装焼杉の外壁になります。

塗装焼杉とは意匠性を持たせるために焼杉の表面にブラシをかけ、木目を浮き出させて塗装した板になります。
天竜焼杉と比較すると経年変化が早く、数年すると元々の木の素地が見えてきます。
下の画像は10年後の状態です。

全体に塗装されていた色は薄くなり、木の素地が出てきました。
このままでも外壁に求められる性能としては問題ないのですが、色の再現のための再塗装ももちろん出来ます。
T様はこの変化を味わいとしてとらえていらっしゃるので、再塗装の予定はありません。
そういう意味ではやはり長持ちする素材と言えます。
塗装杉羽目板(好みの色を楽しめる / 5年後の実例)

塗装杉板とは文字通り杉板に色を付けたものになります。上の画像はオスモカラーという塗料を使った杉板を横貼りにしたものです。長崎の工務店フルマークハウス様からお借りしました。
塗装剤を大きく分けると、自然素材系塗料と化学合成系塗料に分けられます。
木の外壁に使う塗料としては自然素材系を使います。化学合成系では木の質感が出なかったり、何より木本来が持つ呼吸する特徴が生かされません。
化学合成系塗料はサイディングに多用されています。
その自然素材系塗料/商品名もいくつかに分類できます。(代表的な物)
● 鉱物、無機質 / ウッドロングエコ
● 柿渋 / 柿渋コートG(色が選べる)
木の外壁によく使われているのが植物オイルベースの物で、有名なものではオスモやリボス(共にドイツ製)があります。マルトでは日本製の「いろは」を使用することが多いです。
塗装杉羽目板の一番の魅力は好みの色で仕上げられることですが、やはり素地が木ですから経年変化があります。ただ、木の素地が見えてきても外壁としての性能には問題はありません。
色を維持したい場合はもちろん再塗装は可能です。


ウッドロングエコ塗装(自然な風合い / 2年・7年後の実例)
色は選べませんが、ウッドロングエコ(木材保護材)を外壁としてを使うこともあります。



上の画像はそれぞれ竣工時と数年後の様子です。やはり木の素地が見えてきました。雨風の当たり具合などにより場所によって経年変化の様子も違います。
現在も経年変化が進んでいますが、塗り替えは行っていません。
家づくり百貨より詳しい記事が出ています。
無塗装羽目板(シルバーグレーへの美しい変化 / 6年後の実例)
木の板に着色をしない外壁です。
全くの無塗装と保護材としてのクリア塗装を施す場合もありますが、スピードの差はあれ同じように経年変化をします。

経年変化の様子は広島の設計事務所、レフトハンズ様よりお借りしました。
木本来の素地が出て、全体にシルバーになっています。

日本の家の7割以上が選ぶ「サイディング」の特徴と、木の外壁との根本的な違い

上の画像は木の外壁によく似せたもので「木目調サイディング」といわれます。
他にも石積調やレンガ調など様々なデザイン、様々な色があります。
サイディングの特徴
ここで日本の住宅の7〜8割で使われている一般的な外壁材「サイディング」について簡単におさらいしておきましょう。
サイディングとは、セメントや金属、木質などの繊維を混ぜて板状に成形した「外壁用のパネル」のことです。
工場で大量生産され、現場で職人さんが壁に張り合わせていく施工方法が一般的です。
その中でも、セメントに繊維質を混ぜて作った「窯業(ようぎょう)系サイディング」が最も広く普及しています。
サイディングがこれほど選ばれているのには、次のような理由があります。
サイディングの主なメリット
●初期費用が安い: 大量生産されているため、本物の木やタイルに比べて材料費・施工費を抑えられます。(グレードの高いものは安くありません)
●デザインが豊富: レンガ調、タイル調、石積み風、そして木目調など、最新の印刷技術によって様々なデザインから選べます。
●施工が安定している: 工場製品なので品質にムラがなく、工期も短く済みます。
サイディングの弱点
これだけ聞くと「じゃあサイディングで十分じゃない?」と思われるかもしれませんね。
そのサイディングの最大の弱点は、「建てた瞬間が一番美しく、あとは汚れて劣化していく」という点です。
サイディングの表面は、雨や汚れを弾くために「塗装」で守られています。
しかし、紫外線や風雨を浴び続けることで、10年も経つと塗装の機能が落ち、色あせや「チョーキング(壁に触ると白い粉がつく現象)」が始まります。
また、板と板の隙間を埋めているゴム状の「シーリング(コーキング)」も、紫外線でパリパリにひび割れてしまいます。
これを放置すると、隙間から雨水が侵入して家の構造を傷めてしまうため、定期的な「シーリングの打ち替え」「全体の再塗装」に加え、それらの工事に必要な「足場組」がどうしても不可欠になります。
「サイディング」は定期的にメンテナンスが必要、という点が木の外壁との根本的な違いです。
では、この特徴の違いが、将来的な「お金の差」にどう響いてくるのでしょうか?
次の章で、具体的なメンテナンス費用を比較してみましょう。
【徹底比較】サイディング vs 木の外壁「30年間の総コスト」

家づくりにおいて、コストの不安はつきものです。
一般的な窯業(ようぎょう)系サイディングに比べると、国産の無垢杉や天竜焼杉を外壁に使う場合、最初の建築費用は高くなります。
しかし、ここで見落としてはならないのが、家を建ててからかかる「30年間~の総コスト(生涯費用)」です。
サイディングよりも木の外壁の方がメンテナンス費用も高いと思われがちですが、実はサイディングの方が高くなることが多い(特に安価なサイディング)のが事実です。
初期費用だけでサイディングを選んでしまうと、10年後、20年後に大きな後悔につながることがあります。
「30年間の外壁コスト」シミュレーション(延床面積 約30坪のイメージ)
それぞれのメンテナンス周期と、30年間にかかる費用の目安を分かりやすく表で比較してみましょう。
| 窯業系サイディング | 天龍焼杉 | |
| 初期費用(建築時) | 比較的安価 | サイデイングより80万~UP |
| 10年から15年後 | +150万以上 シーリング打ち換え、再塗装、足場代 | 特にメンテ不要 経年変化はあり |
| 20年から30年後 | +150万以上 シーリング打ち換え、再塗装、足場代 | 特にメンテ不要 経年変化はあり |
| 30年以降 | 基材自体の寿命で「全面張り替え」の検討が必要 | 割れなどの部分補修のみで継続可能 |
| 総コスト | 初期費用 + 300万円以上 | 初期費用 + 80万円(実質220万円おトク) |
(塗装杉板などの外壁で、色のため再塗装をするのであれば塗装代+足場代がかかります。)
初期費用は高くても、1回分のメンテナンス代で「元」が取れる
表を見ていただくと分かる通り、一般的なサイディングは「10〜15年ごと」に定期的なメンテナンス費用が発生します。
「建てるときのお金」だけで比較すると自然素材は高く見えます。
しかし、長く安心して暮らす家だからこそ、「建ててからかかるお金」を含めた総コストで考えることが大切です。
「本当のコストパフォーマンス」に優れた天竜焼杉や木の外壁は、メンテナンス費用を抑えられる家計にも優しい選択肢になってくれます。
グレードの高いサイデイングについて
安価なサイディングについては正直言っておススメできません。
ただ、サイディングには木では表せない色やデザインが豊富にあるというメリットもあります。
どうしてもサイディングを採用したい場合には外せないポイントがあります。
サイディングであっても長持ちする物を選ぶことです。
メーカーも高耐久のサイディングを展開しています。
例えば、ニチハでは「フュージェプレミアム+プラチナコート」
ケイミューでは「光セラ+スーパーKMEWシール30 / 40」や「SOLIDO」がそれにあたります。
「SOLIDO」については家づくり百貨より詳しい記事が出ています。
グレードの高いサイディングですから価格は安くはありません。
初期費用はどう変わる?「木の外壁」4つの種類別の価格帯

木の外壁と聞いて、多くの方が最初にイメージするのは「建材に比べて価格が高そう……」という不安ではないでしょうか。
実際のところ、何と比較するかによって基準は変わりますが、私たちが取り扱う木の外壁の初期費用(建築時のコスト)を大まかに比較すると、以下のような順番になります。
【高い】 天竜焼杉 > 塗装杉板 > ウッドロングエコ > 焼杉板 > 無塗装 【安い】
「自然素材はすべて一律で高い」と思われがちですが、実はそんなことはありません。
例えば、もっともリーズナブルな「無塗装杉板」であれば、一般的なサイディングよりも安価に施工できるケースもあります。
逆に、高い耐久性を持つ「天竜焼杉」であっても、高グレードなサイディング(高耐久仕様)と比較すれば、天竜焼杉の方が安く抑えられることすらあります。
また、ガルバリウム鋼板の外壁は「塗装杉板」や「ウッドロングエコ」と同等程度、マルトでもよく採用する「そとん壁(シラス台地の塗り壁)」と比べた場合は「天竜焼杉」の方が少しお値打ちになります。
家を建てる際には、「自然素材=高価、工業化された建材=安価」という先入観は一度捨てて、トータルのバランスで考えることをおすすめします。
ただし、建築会社によって「仕入れのルート」や「施工の得意・不得意」は大きく異なります。
普段サイディングしか貼らない会社に「杉板を貼りたい」と相談しても、施工に慣れていないため見積もりが跳ね上がってしまうケースが少なくありません。
木の外壁を選びたい場合は、普段から自然素材を扱い、木の特徴を熟知している依頼先(工務店)を選ぶことが何よりも大切です
まとめ:30年後に「選んでよかった」と思える外壁選びを

木の外壁は、木の質感が好きな方や、歳月とともに変わっていく変化を「我が家が年齢を重ねていく味わい」として楽しめる方には、とてもおススメの選択肢です。
そとん壁(塗り壁)との相性も抜群で、街並みに美しく溶け込む落ち着いた外観をつくることができます。
「初期費用が高い」「メンテナンスが大変そう」というイメージが先行しがちですが、決してそうではないことを知っていただけたかと思います。
何より、天竜焼杉のように30年〜50年近くほぼノーメンテナンスで過ごせる素材を選べば、建てた後の暮らしのコスト(家計)を大きく助けてくれます。
これから長く暮らす住まいだからこそ、建てた瞬間だけでなく、10年後、20年後、そして30年後の未来を見据えて外壁材を選んでみませんか?
マルトでは、スタッフが実際に家族と数年間暮らしている多賀の家(モデルハウス)を公開しています。
天竜焼杉の経年変化の様子や、火山灰から成るそとん塗り壁の外壁もご覧いただけます。
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